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TORENDIA

マードック先生の『日本歴史』

本文約3,200字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

マードックによる『日本歴史』を紹介し、西洋の視点から日本の近代化を論じる。著者は日本人が当然と受け入れる明治の発展を、外部からの驚嘆という客観的視座で見つめ直す。本書は、異文化の接触と急激な豹変の歴史をひも解くことで、過去を見失い未来へ押し流される日本人の現状に対する省察を綴る。

夏目漱石

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先生は約の如く横浜総領事を通じてケリー・エンド・ウォルシから自著の『日本歴史』を余に送るべく取り計われたと見えて、約七百頁の重い書物がその後日ならずして余の手に落ちた。ただしそれは第一巻であった。そうして巻末に明治四十三年五月発行と書いてあるので、余は始めてこの書に対する出版順序に関しての余の誤解を覚った。

先生はわが邦歴史のうちで、葡萄牙人が十六世紀に始めて日本を発見して以来織田、豊臣、徳川三氏を経て島原の内乱に至るまでの間、いわゆる西欧交通の初期とも称して然るべき時期を択んで、その部分だけを先年出版されたのである。だから順序からいうと、第二巻が最初に公けにされた訳になる。そうして去年五月発行とある新刊の方は、かえって第一巻に相当する上代以後の歴史であった。最後の巻、即ち十七世紀の中頃から維新の変に至るまでの沿革は、今なお述作中にかかる未成品に過ぎなかった。その上去年の第一巻とこれから出る第三巻目は、先生一個の企てでなく、日本の亜細亜協会が引き受けて刊行するのだという事が分った。従って先生の読んでくれといった新刊の緒論は、第三巻にあるのではなくて、やはり第一巻の第一篇の事だと知れた。それで先ず寄贈された大冊子の冒頭にある緒言だけを取り敢ず通覧した。

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