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TORENDIA

ジャーナリズム雑感

本文約10,700字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

高速度印刷や交通機関の発達が生んだ特異な現象であるジャーナリズムについて、その本質や社会的な影響を随筆として綴る。著者は、日々報道される事件が類型化され、事実の真相よりもつじつま合わせが優先される実態を指摘する。さらに、営利目的の生存競争が生む弊害を論じ、情報の氾濫が読者の頭脳に及ぼす影響を危惧しつつ、公共機関への移管や冷静な読者の存在を希求する。

寺田寅彦

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いつかある大新聞社の工場を見学に行ってあの高速度輪転機の前面を瀑布のごとく流れ落ちる新聞紙の帯が、截断され折り畳まれ積み上げられて行く光景を見ていたとき、なるほどこれではジャーナリズムが世界に氾濫するのも当然だという気がしないではいられなかった。あまり感心したために機械油でぬらぬらする階段ですべってころんで白い夏服を台無しにしたことであった。

現代のジャーナリズムは結局やはり近代における印刷術ならびに交通機関の異常な発達の結果として生まれた特異な現象である。同時に反応的にまたこれらの機関の発達を刺激していることも事実であろうが、とにかく高速度印刷と高速度運搬の可能になった結果としてその日の昼ごろまでの出来事を夕刊に、夜中までの事件を朝刊にして万人の玄関に送り届けるということが可能になった、この事実から、いわゆるジャーナリズムのあらゆる長所と短所が出発するのであろう。

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