三面一体の生活へ
本文約9,700字 ・ 読了時間 約20分
あらすじ(AIが作成しました)
個人、国民、世界人という三つの側面を一体として生きる三面一体の生活を論じる。著者は現代の生活がこれら三つの面で矛盾し衝突していると指摘し、その解決策として、国境を超えて人類共通の幸福となる愛や経済、学問、芸術を生活の価値標準に据えることを提唱する。さらに戦争という野蛮な遺習の不合理を説き、世界人類的な連帯協同生活を基礎とすることで、個人の自由と平和が両立する理想的な社会の実現を目指す意義を訴える。
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私たちは個人として、国民として、世界人としてという三つの面を持ちながら、それが一体であるという生活を意識的に実現したい。誰も無意識的には、また偶然的にはこの三面一体の生活の中に出つ入りつしているのですが、それを明らかに意識すると共に、出来るだけ完全にその三面が一体である生活を築いて行きたいと思うのです。
どうしてこういうことを思うかというと、私たちにはあくまでも幸福な生活を建てようとする要求があります。この要求は強力な一つの本能である上に、今一つの強力な本能である理性がこれを支持し助長しようとします。全く私たちの人生の内部から発した所のこの要求ほど確かな真実はありません。私はこれが絶対に合理的であることを信じます。
あくまでも幸福な生活を建てたいとするのは、従来の生活が十分に幸福なものでないということが不満を感じさせるからで、そうしてその理由は個人、国民、世界人という三つの面が矛盾し、衝突し、破裂しているからだということを今は私たち婦人も知る時機が来ました。即ち個人生活に利のあることは国民生活に害があり、国民生活に利のあることは世界生活に害があるという矛盾した状態に置かれているからだと思います。例えば戦争という人生の事実が縦まに個人を殺傷して個人生活の安全を害すると共に世界の平和をも乱すことは何人にも明白なることであるのですが、世界の文化の進歩したといわれる今日にかえって現在のような狂暴な大戦争が数年にわたって継続されているということは、今日もなお国民生活を特に偏重して、国民の自治的代表機関である国家が国民生活としての利害の前に他の二つの生活を犠牲にして顧みないという旧式な思想に原因していると思います。