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TORENDIA

石竹

本文約320字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

乾いた磧や山道でも平気で咲き、茎が折れても姿勢を持ち直して伸びていく石竹の花に、灼熱にも負けない不思議な「生命」の強さを見出す薄田泣菫の随筆。

薄田泣菫

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🎧 石竹 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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この頃咲く花に石竹があります。照り続きで、どんなに乾いた磧にも、山道にも、平気で咲いてゐるのはこの花です。茎が折れると、折れたままにその次の節からまた姿勢を持ちなほして、伸びてゆくのはこの花です。細くて、きやしやで、日盛りのあるかないかの風にも、しなしなと揺れるほどの草ですが、針金のやうな強い神経をもつてゐて、多くの草花がへとへとに萎びかかつてゐる灼熱の真つ昼間を、瞬きもせず澄みきつた眼を開いて、太陽を見つめてゐるのはこの花です。茎を折つても、水気ひとつ出るではなし、線香のやうに乾いた髄を通して、生命が呼吸してゐるのはこの花です。砂の夢。灼けつく石の夢。そしてまたどんな貧しい土地にも、根をおろして伸びてゆく不思議な「生命」の石竹色の夢。

完

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