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TORENDIA

新しい抵抗について

本文約15,400字 ・ 読了時間 約31分

あらすじ(AIが作成しました)

戦後の日本において、形を変えて浸透するファシズムの脅威を論じる。大量の人員整理や三鷹事件等の挑発、さらに過去の戦争を美化する「秘史」ルポルタージュの流行といった狡猾な社会状況を分析する。民主化を進めるためには、集団的な抵抗に加え、個々人が自らの生活の全面においてファシズムを見極め、抗議する主体性を持つ必要があると説く。人間らしい瑞々しい生を守るための、感性を伴った抵抗の重要性を提示する。

宮本百合子

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一 今日のファシズムのありかた

この八月十五日には、四回目のポツダム宣言受諾の記念日がめぐってくるわけです。その記念日にあたって、わたしたちが力をつくして闘い、抵抗しなければならないのが国の内外にあらわになって来ているファシズムであり、戦争挑発であるということは、実に感慨無量のことです。

日本のファシズムは、本年に入ってから、特に国鉄をはじめとして大量の人員整理をはじめてから、ひどい勢いで各方面で人民生活をかみやぶりはじめました。

わたしたちの民族独立への希望や、文化の自立への希望――つまり独立した社会人として当然に抱いている生活におけるすべての希望は、ファシズムとの闘いなしにはうちたてられないことを痛感しているわけですが、それにつけてもわたしたちは日常生活の中におこってきているファシズムのこんにちの日本独特のやり方について、こまかく見きわめる必要があると思います。

ファシズムというと、わたしたちはすぐ戦争中のままの形で超国家的な大川周明の理論や、憲兵の横暴や、軍部、検事局その他人民を抑圧した天皇制の機構全体を頭にうかべて、なんとなしその全体に体当りで抵抗するのがファシズムへの抵抗という感じをもって来ていると思います。さき頃の映画の東宝問題というものがでると、誰にもファシズムの反動文化政策というものが分るし、まして、この頃のような社会情勢に対してファシズムの圧力を感じ、それに対して反対の声をあげない人はありません。三鷹事件、下山事件の新聞記事の扱いかたなどにしてもファシスト的な挑発の調子がつよいとみんなが感じている。

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