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TORENDIA

なつかしい仲間

本文約4,500字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

小学校時代の親友である村上けい子との思い出を軸に、自身の半生を振り返る随筆。酒樽の呑口作りの家に生まれながらも、劇団や花街という数奇な境遇を歩んだ彼女の足跡を辿りつつ、高嶺さんや千枝子さんら女学校時代の友人たちが社会の規律の中で変化していく様子を描く。仕事を通じて深まった文学仲間との絆や社会的変化と友情の関わりを綴り、友情の本質がかつての受動的なものから現代的な結びつきへ変容したことを考察する。

宮本百合子

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🎧 なつかしい仲間 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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友達ということを思うと、私の心にきっと甦って来る一つの俤がある。

村上けい子さんといったあの子は今どんな風に暮しているのだろうか。やっぱり東京にいるのかしら。それとも、どこかの田舎の町にでもいるのかしら、それとももうこの世の中にはいない人になってしまってでもいるのだろうか。そういう風にこの二十何年間のうつりゆきを、まるで絶えている消息のなかに探るのである。私が小学校の六年だったとき、一年したの級に村上さんという生徒がいて、紡績の絣の着物と羽織に海老茶の袴をはいて、級で一番背が高かったばかりでなく、成績が大変いいのと、成績がいいのに、その組にいる武さんと云った金持の子が何かというといじめるというので、注意をひかれていた。大柄のおとなしい縹緻よしで、受け口のつつましい村上さんに意地わるをする武さんという娘は、その頃珍らしい贅沢な洋服姿の登校であった。襞のどっさりついた短い少女服のスカートをゆさゆささせながら、長い編上げ靴でぴっちりしめた細い脚で廊下から運動場へ出て来る細面の上には、先生の腹のなかも見とおしているような目があった。

女学校へ入ってからも、弟がその学校にいたので、私は毎日かえりにはそこへ寄る。いつか村上さんと親しくなって、おばあさんが直ぐ近くの藤堂さんという華族の樫林の裏にいるのがわかってからは、互に往き来もし、日に一遍は会わずにいられないようになった。上の学校への入学試験準備はその頃からもうひどくて、六年生は二学期から、放課後もいのこった。村上さんはどこをうけるの? ときくと、受け口の口元をしずかにほころばして、どこをうけるのか知らないわ、と云うのであった。私はおけいちゃんを自分のいる学校へ入れたいと思った。試験が近づくと、うちで一緒に夜も勉強したりした。おけいちゃんの家は酒樽の呑口をこしらえるのが商売であった。

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