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TORENDIA

あとがき(『朝の風』)

本文約340字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

最近作の表題作から、昭和初期にさかのぼる作品までを集めた短篇集のあとがき。木の年輪にたとえて、自分の生きてきた季節を振り返る宮本百合子の文章。

宮本百合子

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🎧 あとがき(『朝の風』) / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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この短篇集は私にとってもすこし風変りな集となった。一番はじめの「朝の風」は極く最近のものだけれど、次の「牡丹」以下の作品はずっと昭和の初めごろまでさかのぼっていて「小祝の一家」に到る間に多くの年月がこもっている。

これまでに出版された本のなかへは入れていなかった作品をも今度はあつめておく心持になった。見ようによっては一つの年輪がここにあるとも云える。一本の樹木も成長してゆく過程には、越した冬の寒さや雪の重さによって、夏の嵐の強弱によって年輪をさまざまに描き出して行くそうだ。私のこの一つの年輪は、閲された生活のどんな季節をつたえていることだろう。夫々の読者が夫々に生きて来た人生の季節の、どんな朝夕の心にこの一冊は語りかけるものをもっているだろうか。

昭和十五年十月

〔一九四〇年十一月〕

完

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