日記
本文約35,000字 ・ 読了時間 約70分
あらすじ(AIが作成しました)
著者自身の日常生活を綴る。知人との食事や観劇、誕生日の喜びといった日常の風景から、読書体験や他作家の作品への感想、引越しの検討まで多岐にわたる。季節の移ろいとともに、執筆作業や芸術鑑賞、家族や友人との交流、そして各地への旅行を通じて、著者が日々抱く内省や社会への眼差しをありのままに記録する。折々に挿入されるメモや短い考察を含め、一人の生活者の視点からその時々の思考と実感が簡潔に記される。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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一月五日(月曜) 山岡にかえって来る。
一月十九日(月曜) 久しぶりにて、金子茂、河崎なつ、石本、新妻氏等と一緒に偕楽園で食事をし、かえりに林町にゆく。
一月三十日(金曜) 夥しき降雪。
祖母上[#中條運]のメモリーとして短いものを書き始む、『新小説』に送るつもり。
一月三十一日(土曜) 晴、この日記を買って来てつけることにする。
かなりとびとびにはなるがやはり書くものがないと淋しい。
二月七日(土曜) 「祖母のために」を終る。斎藤龍太郎氏あてに送る。
二月九日(月曜) 母と市村座。
この前の月、吉・菊[#中村吉右衛門、尾上菊五郎]連合のをYと二人で見たので、同じ場所のため或感情あり。彼女もさそって来たかった。
菊五郎相変らずうまし。かえってから、母上と、菊、吉、の芸風について話がはずんだ。
二月十三日(金曜) 今日は自分の誕生日であった。起き、二人でロシア語を勉強してから、Y、私へのおくりものを買いにと出かけてゆく。八時頃、千疋やの大きな紙包を下げて戻った。一目見、片方のは花と判ったがもう一方の大きな四角は何だか判らず、二階であけて見たら、桜文鳥の番が出た。思いがけず、鳥とは思いがけず! 近所から一寸した料理をとり夕飯をおそくたべた。食後、楽しく喋り、いろいろして居るうちに、三時すぎ。眠ったのは四時頃であったろう。楽しい平和な一日であった。自分の誕生日をこの位しんから愉快に晴々と送ったことがこれ迄一度でもあっただろうか、という事を頻りに考えた。面白い。今日は西洋人のいやがる十三日 Friday だ。それでも自分にはこんなによい日。
〔欄外に〕「イスカリオテのユダ」。