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TORENDIA

反古しらべ

本文約1,000字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

虫干しの最中に見つけた古びた反古や書き付けを手に、著者が過ぎ去った日々を回想する。父が残した歌の詠草やその細かな筆跡に触れ、亡き父を慕う心情を綴る。また、父の病床に寄り添う中で詠んだ歌が、父の没後に知人の催しで選歌された出来事を記す。晴れがましい評価を受けてもなお、その喜びを分かち合うべき父がいない悲しみや、筆をとる気力を失うほどの孤独な心の内を描く。

樋口一葉

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🎧 反古しらべ / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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虫干すとてかびくさき反古どもあまた取出しける中に、故兄が殘したるくさ/″\の筆記あり、ことこまかにしるしとゝめたるさま、これはそれの夏、腦の病ひおこらんとせし前の月こゝろをとゝめて物しつるなり、今かたつかたハ霜こほる冬のよ、毎よさかならず父母が寐間をうかゝひて裾に物をおき、襖のたてつけをあらためし頃ほひ、今宵ハいと寒きに早く寐よかし風もぞ引くと母の仰せつるに、承りぬとて

反古しらべ

この頃の日かげに少しかびくさき物ほしてんとて取出しみれバさま/″\の反古どもこそ出來れ、かのえ午一月吉書などかきて分なき筆づかひ耻かしうもなつかしうも覺ゆるもあり、十とせの昔しなるべし 歌よむはじめし頃の詠草くりひらげミれば、かみの末に歌の數こまかにしたゝめて幾年幾月より幾月までの間など書たる、手ハなき父の物せられしなり、何ゆゑとも知らずなつかしうかなしう、詠草を抱きて父樣父樣となきぬ、有つる世にハしかられん事の恐ろしうて、歌ミせまつる事もせざりしを、今はた腰折のえせ歌よみ出るにも少し聞よくなどいはれつるをばやがて物に書て佛の前に供へぬ、道はるかなりとも親ハミ給ふべしや。

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