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TORENDIA

妙齢

本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

三歳の美少女を見初めた国君は、将来彼女を自身の夫人とするため、道人に秘蔵を命じる。道人の予言に反発した国君は、鶴に命じて彼女を険しい山上の巣へ隠させる。鶴の守護のもと成長した姫のもとへ、ある日川から流れてきた美少年が辿り着く。樹上の巣で重なり合った二人は契りを結ぶが、成長した姫の異変に気づいた鶴によって少年は空へと撥ね飛ばされる。仏が語るこの物語の顛末を、羅漢たちが興味深く聞き入る様子を描く。

泉鏡花

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🎧 妙齢 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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雨の日のつれ/″\に、佛、教へてのたまはく、昔某の國に一婦ありて女を生めり。此の婦恰も弱竹の如くにして、生れし女玉の如し。年はじめて三歳、國君其の色を聞し召し、仍ち御殿にお迎へ遊ばし、掌に据ゑられしが、忽ち恍惚となり給ふ。然るにても其の餘りの美しさに、ひととなりて後國を傾くる憂もやとて、當時國中に聞えたる、道人何某を召出して、近う、近う、爾よく此の可愛きものを想せよ、と仰せらる。名道人畏り、白き長き鬚を撫で、あどなき顏を仰向けに、天眼鏡をかざせし状、花の莟に月さして、雪の散るにも似たりけり。

やがて退りて、手を支へ、は、は、申上げ奉る。應、何とぢや、とお待兼ね。名道人謹んで、微妙うもおはしまし候ものかな。妙齡に至らせ給ひなば、あはれ才徳かね備はり、希有の夫人とならせ給はん。即ち、近ごろの流行の良妻賢母にましますべし。然りながら、我が君主、無禮なる儀には候へども、此の姫、殿の夫人とならせたまふ前に、餘所の夫の候ぞや。何と、と殿樣、片膝屹と立てたまへば、唯唯、唯、恐れながら、打槌はづれ候ても、天眼鏡は淨玻璃なり、此の女、夫ありて、後ならでは、殿の御手に入り難し、と憚らずこそ申しけれ。

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