妙な子
本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
「妙な子」「育てにくい子」と周囲から評される少女が、自身の内面的な葛藤を綴る。感情を素直に表し、人間が生きる意味や女性の天職といった疑問を抱く彼女は、大人たちとの対話に噛み合わなさを感じている。娘、妻、母といった女性の理想像を空想しつつ、自身の素朴な問いを否定される日常の中で、既存の枠に収まりきらない自らのあり方を肯定し、周囲の評価を気にせず生きる決意を語る。
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私は母からも又学課だけを教えて呉れる先生と云う人からも「妙な子」、「そだてにくいお子さん」と云われて居る。自分では何にも変なお子さんでも妙な子でもないつもりでもはたからそうして呉れるんでよけいにそうなったのかも知れない。私は母から見れば妙な子と云われてもしかたがない、って云う事は自ぼれのつよい自分でも知って居る。それは母って云う人は一体理性のかった人で(但し恐った時にどなり出すのはくせだけれど)可愛そうで泣きたいように私の思う事でも世の中にはたんとあるこったものと云う人であるに引きかえ、私は泣きたければすぐ泣く、笑いたければすぐ笑う。私の感情はすぐに顔や口振にあらわれて来る。だから母から見た私は妙な子なんである。人達の笑いながらしゃべって居る時に私は何かよんだものの中の主人公なんかを思って別に気もつかず悪気もなくって考えこんで居ると、いきなり私の母は私の体をゆすったり大きな声を出したりして私の思った事をめちゃめちゃにこわしておいて、別にあやまりもしないで私のかおを大穴のあくほど見て一人ごとのように「妙な子だよ」と云う。そんな時には私はきっしりと抱いて居たものを頭の上から手が出てうばって行ったようなぽかんとした気持になってしまう。
私は人から妙な子と云われるのを格別苦労にも思わなければ又かなしいとも思わない。もしかすると妙な子と云われるのがほんとうなのかもしれない。まだ世の中のことを知ったようでまだ知りきれない半じゅく玉子のようなブヨブヨした私の心にはいろいろな不思議な事があり又不安心な事が大沢山ある。それがたぶん私の妙な子と云われるわけなんであろう。
私の一番不思議で又知りたいのは、
人間はなぜ生きて居なければいけないのか、死にたい時に勝手に死んでもよさそうなものだに。
と云う事である。その答として母の云ったことは、
「天職を全うするため」だと。
又私はその天職ってものがどんな事が天職であり又神様の思っていらっしゃる天職であろう。天職と云って居るのは人間であるから若しや神様の思って居らっしゃる天職とはかけはなれた事を天職だと云ってやしないか。
母の答はこうであった。