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TORENDIA

安達が原

本文約3,400字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

奥州の安達が原に迷い込んだ旅の僧は、老婆が一人で住むあばら家に一夜の宿を借りる。老婆は薪を取りに出かける際、決して次の間を覗かぬよう厳重に言い残す。不審に思った僧が障子を開けると、そこには無数の死骸が積み上げられていた。鬼の仕業と悟った僧は死に物狂いで逃げ出し、追いすがる老婆の声に脅えながらも、朝日が昇るまで一心不乱に念仏を唱え続け、人里へと命からがら逃げ延びる。

楠山正雄

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🎧 安達が原 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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一

むかし、京都から諸国修行に出た坊さんが、白河の関を越えて奥州に入りました。磐城国の福島に近い安達が原という原にかかりますと、短い秋の日がとっぷり暮れました。

坊さんは一日寂しい道を歩きつづけに歩いて、おなかはすくし、のどは渇くし、何よりも足がくたびれきって、この先歩きたくも歩かれなくなりました。どこぞに百姓家でも見つけ次第、頼んで一晩泊めてもらおうと思いましたが、折あしく原の中にかかって、見渡す限りぼうぼうと草ばかり生い茂った秋の野末のけしきで、それらしい煙の上がる家も見えません。もうどうしようか、いっそ野宿ときめようか、それにしてもこうおなかがすいてはやりきれない、せめて水でも飲ましてくれる家はないかしらと、心細く思いつづけながら、とぼとぼ歩いて行きますと、ふと向こうにちらりと明りが一つ見えました。

「やれやれ、有り難い、これで助かった。」と思って、一生懸命明りを目当てにたどって行きますと、なるほど家があるにはありましたが、これはまたひどい野中の一つ家で、軒はくずれ、柱はかたむいて、家というのも名ばかりのひどいあばら家でしたから、坊さんは二度びっくりして、さすがにすぐとは中へ入りかねていました。

すると中では、かすかな破れ行灯の火かげで、一人のおばあさんがしきりと糸を繰っている様子でしたが、その時障子の破れからやせた顔を出して、

「もしもし、お坊さま、そこに何をしておいでだえ。」

と声をかけました。

出し抜けに呼びかけられたので、坊さんは思わずぎょっとしながら、

「ああ、おばあさん。じつはこの原の中で日が暮れたので、泊る家がなくって困っている者です。今夜一晩どうかして泊めては頂けますまいか。」

といいました。

するとおばあさんは、

「おやおや、それはお困りだろう。だがごらんのとおり原中の一軒家で、せっかくお泊め申しても、着てねる布団一枚もありませんよ。」

とことわりました。

坊さんはおばあさんがそういう様子の親切そうなのに、やっと安心して、

「いえいえ、雨露さえしのげばけっこうです。布団なんぞの心配はいりませんから、どうぞお泊めなすって下さい。」

と頼みました。

おばあさんはにこにこ笑いながら、

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