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TORENDIA

一本のわら

本文約5,500字 ・ 読了時間 約12分

あらすじ(AIが作成しました)

大和国の貧しい若者は、観音に救いを求めて長谷寺にこもり、お告げに従って手にした一本のわらを大切に持ち歩く。旅の道中でわらをあぶと交換し、それをもとにみかん、布、馬、そして最終的に広大な田と家を手に入れる。偶然や機転を活かして着実に持ち物を豊かにしていった若者が、やがて土地の有力者として家族と共に幸福な一生を送るまでの幸運に恵まれた数奇な経緯を描く。

楠山正雄

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🎧 一本のわら / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一

むかし、大和国に貧乏な若者がありました。一人ぼっちで、ふた親も妻も子供もない上に、使ってくれる主人もまだありませんでした。若者はだんだん心細くなったものですから、これは観音さまにお願いをする外はないと思って、長谷寺という大きなお寺のお堂におこもりをしました。

「こうしておりましては、このままあなたのお前でかつえ死にに死んでしまうかも知れません。あなたのお力でどうにかなるものでしたら、どうぞ夢ででもお教え下さいまし。その夢を見ないうちは、死ぬまでここにこうしておこもりをしておりますから。」

こういって、その男は観音さまの前につっ伏しました。それなり幾日たっても動こうとはしませんでした。

するとお寺の坊さんがそれを見て、

「あの若者は毎日つっ伏したきり、物も食べずにいる様子だが、あのまま置いてかつえ死にに死なれでもしたら、お寺の汚れになる。」

とぶつぶつ口小言をいいながら、そばへ寄って来て、

「お前はだれに使われている者だ。いったいどこで物を食べるのか。」

と聞きました。若者はとろんとした目を少しあけて、

「どうしまして、わたしのような運の悪い者は使ってくれる人もありません。ごらんのとおり、もう幾日も何も食べません。せめて観音さまにおすがり申して、生きるとも死ぬとも、この体をどうにでもして頂こうと思うのです。」

といいました。坊さんたちはそこで相談して、

「困ったものだな。うっちゃっておくわけにもいかない。仮にも観音さまにお願い申しているというのだから、せめて食べ物だけはやることにしよう。」

といって、みんなで代わる代わる、食べ物を持って行ってやりました。若者はそれをもらって食べながら、とうとう三七二十一日の間、同じ所につっ伏したまま、一生懸命お祈りをしていました。

いよいよ二十一日のおこもりをすませた明け方に、若者はうとうとしながら、夢を見ました。それは観音さまのまつられているお帳の中から、一人のおじいさんが出てきて、

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