かちかち山
本文約4,200字 ・ 読了時間 約9分
あらすじ(AIが作成しました)
畑を荒らして老人を困らせていた古だぬきは、わなにかかり捕らえられる。隙を見て老人のおばあさんを襲い、その正体と悪行を隠したまま逃走する。悲しみに暮れる老人の元へ現れたうさぎは、かたきをとることを約束する。うさぎは背負った柴に火をつけたり、やけどに唐辛子を塗ったりと、様々な手段でたぬきを追い詰めていく。最後には海へ誘い出し、土の舟で沖に出たところを崩落させて懲らしめる。
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一
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。おじいさんがいつも畑に出て働いていますと、裏の山から一ぴきの古だぬきが出てきて、おじいさんがせっかく丹精をしてこしらえた畑のものを荒らした上に、どんどん石ころや土くれをおじいさんのうしろから投げつけました。おじいさんがおこって追っかけますと、すばやく逃げて行ってしまいます。しばらくするとまたやって来て、あいかわらずいたずらをしました。おじいさんも困りきって、わなをかけておきますと、ある日、たぬきはとうとうそのわなにかかりました。
おじいさんは躍り上がって喜びました。
「ああいい気味だ。とうとうつかまえてやった。」
こう言って、たぬきの四つ足をしばって、うちへかついで帰りました。そして天井のはりにぶら下げて、おばあさんに、
「逃がさないように番をして、晩にわたしが帰るまでにたぬき汁をこしらえておいておくれ。」
と言いのこして、また畑へ出ていきました。
たぬきがしばられてぶら下げられている下で、おばあさんは臼を出して、とんとん麦をついていました。そのうち、
「ああくたびれた。」
とおばあさんは言って、汗をふきました。するとそのときまで、おとなしくぶら下がっていたたぬきが、上から声をかけました。
「もしもし、おばあさん、くたびれたら少しお手伝いをいたしましょう。その代わりこの縄をといて下さい。」
「どうしてどうして、お前なんぞに手伝ってもらえるものか。縄をといてやったら、手伝うどころか、すぐ逃げて行ってしまうだろう。」
「いいえ、もうこうしてつかまったのですもの、今さら逃げるものですか。まあ、ためしに下ろしてごらんなさい。」
あんまりしつっこく、殊勝らしくたのむものですから、おばあさんもうかうか、たぬきの言うことをほんとうにして、縄をといて下ろしてやりました。するとたぬきは、
「やれやれ。」
としばられた手足をさすりました。そして、
「どれ、わたしがついてあげましょう。」