一寸法師
本文約5,500字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
摂津国に住む夫婦のもとに生まれた、指先ほどの背丈しかない一寸法師は、出世を志して都へ上る。三条の宰相殿の家来となり、その娘であるお姫さまの信頼を得るが、ある誤解からお姫さま共々屋敷を追われ、舟で海へ出る。やがて辿り着いた島で鬼に襲われるが、これを撃退して打ち出の小槌を手に入れる。小槌の力で立派な若者に成長した一寸法師は、宝物と共に都へ帰還し、出自が認められて姫と結ばれる。
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一
むかし、摂津国の難波という所に、夫婦の者が住んでおりました。子供が一人も無いものですから、住吉の明神さまに、おまいりをしては、
「どうぞ子供を一人おさずけ下さいまし。それは指ほどの小さな子でもよろしゅうございますから。」
と一生懸命にお願い申しました。
すると間もなく、お上さんは身持ちになりました。
「わたしどものお願いがかなったのだ。」
と夫婦はよろこんで、子供の生まれる日を、今日か明日かと待ちかまえていました。
やがてお上さんは小さな男の赤ちゃんを生みました。ところがそれがまた小さいといって、ほんとうに指ほどの大きさしかありませんでした。
「指ほどの大きさの子供でも、と申し上げたら、ほんとうに指だけの子供を明神さまが下さった。」
と夫婦は笑いながら、この子供をだいじにして育てました。ところがこの子は、いつまでたってもやはり指だけより大きくはなりませんでした。夫婦もあきらめて、その子に一寸法師と名前をつけました。一寸法師は五つになっても、やはり背がのびません。七つになっても、同じことでした。十を越しても、やはり一寸法師でした。一寸法師が往来を歩いていると、近所の子供たちが集まってきて、
「やあ、ちびが歩いている。」
「ふみ殺されるなよ。」
「つまんでかみつぶしてやろうか。」
「ちびやい。ちびやい。」
と口々にいって、からかいました。一寸法師はだまって、にこにこしていました。
二
一寸法師は十六になりました。ある日一寸法師は、おとうさんとおかあさんの前へ出て、
「どうかわたくしにお暇を下さい。」
といいました。おとうさんはびっくりして、
「なぜそんなことをいうのだ。」
と聞きました。一寸法師はとくいらしい顔をして、
「これから京都へ上ろうと思います。」
といいました。
「京都へ上ってどうするつもりだ。」
「京都は天子さまのいらっしゃる日本一の都ですし、おもしろいしごとがたくさんあります。わたくしはそこへ行って、運だめしをしてみようと思います。」
そう聞くとおとうさんはうなずいて、
「よしよし、それなら行っておいで。」
と許して下さいました。