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TORENDIA

ジャン・クリストフ

本文約170,900字 ・ 読了時間 約342分

あらすじ(AIが作成しました)

音楽家クリストフは、創造の情熱が停滞し、創作を楽器の演奏のように感じる日々に倦怠を覚える。親友オリヴィエとの再会で心の平安を得るが、オリヴィエが他者と隔絶して生きていたことを知る。やがてオリヴィエの死という衝撃的な喪失を経験し、孤独な危機を迎える。周囲の無理解の中でもクリストフは自らの芸術を探求し続け、秋の自然の中に生命の燃焼を感じ取り、再び天へと舞い上がる雲雀のように不屈の精神で創作の道へ向かう様子を描く。

ロマン・ローラン Romain Rolland

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われは堅き金剛石

金槌にも鑿にも

打ち砕かれじ。

打て、打て、打ちみよ

われは死なじ。

死してはまた生き

屍灰より生まるる

不死鳥のわれ。

殺せ、殺してみよ、

われは死なじ。

――バイーフ――

[#改ページ]

一

心の静穏。風はやんだ。空気は動かない……。

クリストフは落ち着いていた。彼のうちには平和があった。彼は平和を得て多少矜らかな感じがした。そして内心では、ある遺憾の念を覚えた。彼は静寂に驚いた。彼の熱情は眠っていた。もうその熱情がふたたび眼覚めないのではあるまいかと、真面目に信じていた。

彼のやや粗暴な大なる力は、対象がなく無為に陥って微睡していた。その底には、ひそかな空虚があり、隠れたる「何になるものぞ」があった。またおそらく、つかみ得なかった幸福にたいする感情があった。自分自身にたいしてもまた他人にたいしても、もはや闘うべきものが十分になかった。働くことにさえも、もはや十分の苦痛がなかった。彼はある行程の終わりに到着したのだった。これまでの努力の総額の利を収めていた。切り開いた音楽上の鉱脈をあまりにたやすく掘りつくしていた。そして公衆が、もとより遅まきながらではあったが、彼の過去の作品を発見して賞賛してるうちに、彼のほうでは、これ以上先へ進めるかどうかはまだわからないで、もう過去の作品から離れ始めていた。彼は創作のうちに、いつも同一の幸福を享楽していた。芸術はもはや彼にとっては、彼の現在の生活においては、自分がみごとにひきこなす一つのりっぱな楽器にすぎなかった。彼はみずから恥じながらも、一の享楽者となってしまう気がした。

イプセンはこう言っている。――生来の才能とは異なったより以上のものを、芸術のうちに保存させんがためには、生活を満たして生活に一つの意義を与えるような、熱情や苦悩が必要である。さもなければ、人は創作をすることがなく、ただ書物を書くのみである。

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