天皇陛下にさゝぐる言葉
本文約6,100字 ・ 読了時間 約13分
あらすじ(AIが作成しました)
天皇の現状の旅行のあり方や、権威付けのために宮内省が作り出す架空の威厳について論じる。著者は、天皇という地位を特別視し、地にぬかずくような狂信的な崇拝や、清掃された都市を遍歴する現状が、日本の民主化や真の礼節を妨げていると指摘する。天皇が人間としての謙虚さを持ち、国民から自然な尊敬を受けるべきだと説き、天皇のあり方を通して戦後の日本社会が抱える問題や精神的な未成熟さを批判する。
💰 この本を応援する(投げ銭)
天皇陛下が旅行して歩くことは、人間誰しも旅行するもの、あたりまえのことであるが、現在のような旅行の仕方は、危険千万と言わざるを得ない。
「真相」という雑誌が、この旅行を諷刺して、天皇は箒である、という写真をのせたのが不敬罪だとか、告訴だとか、天皇自身がそれをするなら特別、オセッカイ、まことに敗戦の愚をさとらざるも甚しい侘しい話である。
私は「真相」のカタをもつもので、天皇陛下の旅行の仕方は、充分諷刺に値して、尚あまりあるものだと思っている。
戦争中、我々の東京は焼け野原となった。その工場を、住宅を、たてる資材も労力もないというときに、明治神宮が焼ける、一週間後にはもう、新しい神殿が造られたという、兵器をつくる工場も再建することができずに、呆れかえった話だ。
こういうバカらしさは、敗戦と共にキレイサッパリなくなるかと思っていると、忽ち、もう、この話である。
私のところへは地方新聞が送られてくるから、陛下旅行の様子は手にとる如く分るが、まったく天皇は箒であると言われても仕方がない。
天皇陛下の行く先々、都市も農村も清掃運動、まったく箒である。陛下も亦、一国民として、何の飾りもない都市や農村へ、旅行するのでなければ、人間天皇などゝは何のことだか、ワケが分らない。
朕はタラフク食っている、というプラカードで、不敬罪とか騒いだ話があったが、思うに私は、メーデーに、こういうプラカードが現れた原因は、タラフク食っているという事柄よりも、朕という変テコな第一人称が存在したせいだと思っており、私はそのことを、当時、新聞に書いた。
私はタラフク食っている、という文句だったら、殆ど諷刺の効果はない。それもヤミ屋かなんかを諷刺するなら、まだ国民もアハハと多少はつきあって笑うかも知れないが、天皇を諷刺して、私はタラフク食っていると弥次ってみたところで、ヤミ屋でもタラフク食っているのだもの、ともかく日本一古い家柄の天皇がタラフク食えなくてどうするものか、国民が笑う筈はない。これが諷刺の効果をもつのは、朕という妙テコリンの第一人称が存在したからに外ならぬのである。