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TORENDIA

徒然草の鑑賞

本文約6,600字 ・ 読了時間 約14分

あらすじ(AIが作成しました)

兼好法師の随筆集について、執筆者が自身の読書体験や現代社会との比較を交えつつその魅力を論じる。本書は、心の自由を説く一方、俗人の処世術や無常観、科学研究者の指針となる真理探究の姿勢まで幅広く網羅する。七百年近い時を経てもなお、そこに記された人間の愚かさや滑稽な振る舞いは現代社会と驚くほど重なる。著者は、矛盾や撞着を厭わず気ままに綴られた本作から、三段論法では辿り着けない物事の本質や自由な人間性のあり方を読み解いていく。

寺田寅彦

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『文学』の編輯者から『徒然草』についての「鑑賞と批評」に関して何か述べよという試問を受けた。自分の国文学の素養はようやく中学卒業程度である。何か述べるとすれば中学校でこの本を教わった時の想い出話か、それを今日読み返してみた上での気紛れの偶感か、それ以上のことは出来るはずがない。しかし、それでもいいからと云われるので、ではともかくもなるべくよく読み返してみてからと思っているうちに肝心な職務上の仕事が忙しくて思うように復習も出来ず、結局瑣末な空談をもって余白を汚すことになったのは申訳のない次第である。読者の寛容を祈る外はない。

中学校の五年で『徒然草』を教わった後に高等学校でもう一度同じものを繰返して教わったので比較的によく頭に沁み込んでいると見える。その後ほとんどこの本を読み返したような記憶がなく、昔読んだ本もとうの昔に郷里の家のどこかに仕舞い込まれたきり見たことがない。それだのに今度新たに岩波文庫で読み返してみると、実に新鮮な記憶が残っていた。昔の先生の講義の口振り顔付きまでも思い出されるので驚いてしまった。「しろうるり」などという声が耳の中で響き、すまないことだが先生の顔がそのしろうるりに似て来るような気がしたりするのである。

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