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TORENDIA

佐藤春夫氏の事

本文約430字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

何よりもまず詩人である佐藤春夫の作品を、南瓜を求める者と蒟蒻に喩えながら、その世紀末的な詩情にこそ真価があると評する芥川龍之介の作家論。

芥川龍之介

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🎧 佐藤春夫氏の事 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一、佐藤春夫は詩人なり、何よりも先に詩人なり。或は誰よりも先にと云えるかも知れず。

二、されば作品の特色もその詩的なる点にあり。詩を求めずして佐藤の作品を読むものは、猶南瓜を食わんとして蒟蒻を買うが如し。到底満足を得るの機会あるべからず。既に満足を得ず、而して後その南瓜ならざるを云々するは愚も亦甚し。去って天竺の外に南瓜を求むるに若かず。

三、佐藤の作品中、道徳を諷するものなきにあらず、哲学を寓するもの亦なきにあらざれど、その思想を彩るものは常に一脈の詩情なり。故に佐藤はその詩情を満足せしむる限り、乃木大将を崇拝する事を辞せざると同時に、大石内蔵助を撲殺するも顧る所にあらず。佐藤の一身、詩仏と詩魔とを併せ蔵すと云うも可なり。

四、佐藤の詩情は最も世に云う世紀末の詩情に近きが如し。繊婉にしてよく幽渺たる趣を兼ぬ。「田園の憂欝」の如き、「お絹とその兄弟」の如き、皆然らざるはあらず。これを称して当代の珍と云う、敢て首肯せざるものは皆偏に南瓜を愛するの徒か。

完

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