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TORENDIA

事変記念日

本文約610字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

事変開始から二年が経過する中、国民は銃後の日常生活を営みつつも、時局に応じた緊張感を持つよう求められる。砲煙の下で戦う同胞への思いと凡庸な市民生活の板挟みに悩みながら、国民が困苦欠乏に耐え抜く覚悟について論じる。民衆一人一人が余力を公の場に集め、目的のために組織化することの重要性を説き、為政者に国民の機運を促進させる情熱と新鮮な表現を促すことで、この困難な時代における国民のあり方を提示している。

岸田國士

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事変は遂にまる二年続いた。まだ何時終るかわからぬ。次ぎ次ぎに新しい事態が発生する。予期したところとは云へ、国民はその都度、別に顔色を変へない。なんとかうまく行くものと思つてゐる。何か目に見えない力に頼りきつてゐる風である。

由来、日本国民はさういふ訓育を受けて来てゐる。今日まではそれで押し通して来た。が、一方で、頻りに警告が発せられてゐる。国民はもつと緊張せねばならぬ、時局に応はしい生活をせねばならぬと、政府は宣伝これ努めてゐる。そこで国民は、どうすれば真に「戦場に在る」如くその日その日を送り得るかについて考へる。

しなければならぬと思ひながら、それが実際には不可能だといふことぐらゐ意気を沮喪させるものはない。銃後の国民の大多数は、砲煙の下に身命をさらす同胞の偉大な業績に感激しつゝ、なほかつ、凡庸な市民の日常生活を、その哀歓と共に営まねばならぬとは、なんといふ宿命であらう。

われわれは祖国の安危を前に如何なる困苦欠乏にも堪へ得るであらう。われわれの勇気は何人かの号令によつて倍加されるのではない。しかし、国民がその覚悟をこれ以上なんらかの形で表はす必要があるとすれば、それは区々たる私生活の面に於いてではない。民衆の一人一人が進んでその余力を公けの場所に集め、これをある目的のために組織づけることが第一である。この機運を促進せしめるものは、為政者の情熱と、新鮮な表現に外ならぬ。(「東京朝日新聞」昭和十四年七月七日)

完

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