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TORENDIA

青年へ

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

興亡の岐路に立つ日本において、政治の矛盾や混乱を正す原動力は次代を担う青年の声であると説く。権勢や利欲ではなく真善美を求める青年が、日本人としての生き方を主張し、日常の生活から変革の気運を醸成することこそが、新しい政治を軌道に乗せる道であると論じる。政治を論じることに躊躇せず、健全な文化や社会のあり方について大胆に主張するよう、熱い期待と激励を込めたメッセージを綴る。

岸田國士

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🎧 青年へ / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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日本は今、興亡の岐路に立つてゐる。この事実をわれわれはまづはつきり頭にいれておかなければならぬ。わが民族の矜りは「どうにかなる」といふやうな哲学の上に築かれてゐるのでは断じてないのである。

国民は明日の日本が何処へ行くべきかをひとしく心に想ひ描いてゐる。しかしながら、現実の政治はまだまだ矛盾と混乱に満ち、指導者は輝かしい未来の姿を少しも予言してゐないのである。

新体制といひ、国防国家の建設といひ、その言葉にはむろん宏遠な理想が含まれてゐるに違ひないけれども、国民各自の胸ををどらすやうな影像を浮びあがらせるのは、まさに今後のわれわれの仕事である。

私はひそかに考へるのであるが、この新しい政治の原動力となるのは、次代を背負ふ夢多き青年の声であり、その声は若きがゆゑに高く、純なるが故にこれを遮るものがない。

青年の求めるところは、権勢でも利慾でもない。真なるもの、善なるもの、美なるもの、たゞこれだけである。即ち、人生最高の表現である。

日本の政治は、久しく、この目標を見失つてゐた。民族の本能がやうやくこれに気づかうとしてゐる。新日本の出発は、青年の希望そのものである。

しかしながら、政治の性格なるものは一朝一夕に改変し得るものでない。諸君は辛抱強く待たなければならぬ。待つといふのは手を拱いてゐることではない。求めるものは大いに求め、営々来るべき日に備へ、われわれが成し遂げ得るであらうことを倶に成し遂げてくれなければならぬ。

大政翼賛運動の標語は「臣道実践」である。国民としての青年の道は、それぞれ職あるものは職に励み、学窓にあるものは学業にいそしむことにありとはいへ、たゞそれだけのことなら、今更めて云ふ必要はないのである。私が、特に、この時局下に於て、青年に期待したいのは、わが日本のため諸君が心から欲するところの「生き方」をまづ主張せんことである。日本人として、かく生きねばならぬといふ、ひとつの精神がそこに見出され、かく「生きる」ことを熱望する意気が、諸君の先輩を動かしてこそ、日本の新しい政治ははじめて軌道に乗るであらう。

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