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TORENDIA

疫病神

本文約520字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

佃島で腸チブスを患う妹を看護していた長谷川時雨は、夜の病室で床の間に蹲る不気味な少年の姿を目撃する。疫病神であると直感した時雨は、気迫でその存在を消し去る。その後、箱根へ向かう旅路で再び小田原の停留場に佇む同じ少年の姿を見かけた時雨は、再び対峙する。本作は、時雨が体験した怪異との遭遇を綴る。

田中貢太郎

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🎧 疫病神 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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長谷川時雨女史の実験談であるが、女史が佃島にいた比、令妹の春子さんが腸チブスに罹って離屋の二階に寝ていたので、その枕頭につきっきりで看護していた。

それは夜であったが、その時病人がうなされていた。女史は何の気なしに床の間の方へ眼をやった。そこの床の間の隅に十五六ぐらいの少年がいて、それが腕ぐみしてじっと蹲んでいたが、その髪の毛は焦げあがったようで、顔は細長い茄子の腐ったような顔であった。女史はびっくりしたが、かねて疫病神のことを聞いていたので、ここで負けては病人が死んでしまうと思って、下腹へぐっと力を入れてその少年を睨みつけた。すると、少年の姿が煙のように消えるとともに、うなされていた春子さんが夢から覚めたようになった。

そのうちに春子さんの病気もすっかり癒ったので、女史は箱根へ出かけて往った。国府津で汽車をおりて、そこから電車で小田原へ往ったが、電車が小田原の幸町の停留場へ著いた時、何の気なしに窓の外を見ると、停留場の名を書いた大きな電柱に寄りかかって、ぼんやりと腕ぐみしている少年があった。それは彼の茄子の腐ったような顔色の少年であった。

女史はそこでまた下腹へ力を入れてぐっと睨みつけた。と、少年の姿はまた消えてしまった。

完

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