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TORENDIA

簪につけた短冊

本文約460字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

便所で突然髪を切られる怪異「髷きり」の噂と、女たちが簪に短冊をつけて魔よけにしたという古い言い伝えを、明治の新聞記事から紹介する田中貢太郎の怪談。

田中貢太郎

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🎧 簪につけた短冊 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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日本橋区本町三丁目一番地嚢物商鈴木米次郎方の婢おきんと云うのが、某夜九時すぎ裏手にある便所へ入ろうとして扉をあけると、急に全身に水を浴びせられたようにぞっとして、忽ち頭の毛がばらばらと顔の上へ落ちて来てまるで散髪頭のようになった。婢は悲鳴をあげて隣家の曲淵方へ駈け込むなり、ばったり倒れて気絶してしまった。人びとは驚いて、水や薬などを飲ませて蘇生させ、その訳を聞いて一層胆を潰した。人びとは手に手に棍棒や箒などを持って彼の厠へ駈けつけたが、べつに変ったことはなく髷が入口に無気味な恰好で落ちていただけであった。

そこで初めて、人びとはこれが俗に云う髷きりだと云うことを知ったが、それ以来彼の厠は何人も使わなくなった。

これは明治七年三月十日の東京日日新聞に載っていた話であるが、日日子はそれに就いて、このことはいつか浅草金龍山内にもあった。故老の話では四五十年前にも一度あったが、その時は女たちが簪に小さな短冊をつけて、魔よけにしたと云って、その歌を引いてある。

かみきりや姿を見せよ神国のおそれを知らばやくたたらざれ

完

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