本文へ移動
TORENDIA

通魔

本文約330字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

便所で紫色の小さな顔を見ても動じなかった侍。直後、隣家の主人が同じ怪異を見て発狂し、家族に斬りかかったと知らされる、田中貢太郎の怪談。

田中貢太郎

速度
🎧 通魔 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

旧幕の比であった。江戸の山の手に住んでいる侍の一人が、某日の黄昏便所へ往って手を洗っていると手洗鉢の下の葉蘭の間から鬼魅の悪い紫色をした小さな顔がにゅっと出た。

その侍は胆力が据っていたので、別に驚きもせずに、おかしなものが出たな、と、平気な顔をしていると、その顔は直ぐ消えて無くなった。

で、侍は静に室に入っていると、間もなく右隣の邸が騒がしくなった。何ごとだろうと思って耳を傾けていると、玄関口へ走り込んで来て大声に怒鳴るように云うものがある。侍が出て往ってみるとそれは隣家の仲間であった。

「我家の旦那が急に気がちがって、化物だ化物だと云って、奥様も、坊様も斬りました、どうか早く来てください」と周章てて云った。

隣家の主人は通魔を見て発狂したのであった。

完

田中貢太郎の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本