狐と狸
本文約980字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
燕の恵王の墓に棲む千年の狐と狸は、博学な晋の司空・張華を言い負かそうと少年書生に化けて彼のもとを訪れる。議論を重ねるうちに正体を疑った張華は、友人である雷孔章の助言を経て、二疋の正体を暴こうと試みる。張華は二疋の住処である墓前の華表木を伐り出し、その木を燃やすことで二疋の化けの皮を剥ごうと策を講じ、妖怪との知恵比べに臨む姿を描く。
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燕の恵王の墓の上に、一疋の狐と一疋の狸が棲んでいた。二疋とも千余年を経た妖獣であったが、晋の司空張華の博学多才であることを知って、それをへこますつもりで、少年書生に化けて、馬に乗って出て往こうとすると、華表神が呼び止めて、
「君達はどこへ往くのか」
と聞いた。華表神とは墓の前にある鳥居の神である。狸は華表神の問いに答えて、
「司空の張華と、議論しに往くところだ」
と言った。すると華表木の精が、
「張司空は才人であるから、二人が命を失うばかしでなく、その禍が俺たちにもかかってくる、どうかやめてくれ」
と言ったが、狸と狐は聞かずに出かけて往った。
そして二疋で、張華の処へ往って、張華に逢って議論をはじめたが、その議論にはさすがの張華も弱らされた。張華はこの少年たちはどうしても人間でないから、化けの皮を剥いでやろうと考えていると、知合の雷孔章という者がやってきた。張華は雷孔章の顔を見ると、
「怪しい書生が二人来ている」
と言って話した。雷孔章は、
「君は国の棟梁で、賢者を薦め、不肖者を退けている人じゃないか、自個より議論が偉いといって、妖怪あつかいにするは怪しからん、しかし真箇に怪しいものなら、猟犬を伴れてきて、けしかけたらいいじゃないか」
と言った。
そこで張華は猟犬を伴れて、少年たちのいる室へ入ったが、少年たちは平気であった。
「僕達の才智は、天から与えられたものだ、それを却って妖怪として、犬を伴れてくるとは怪しからん」
と狸の方が言った。張華はこれを聞くと、
「百年の精なれば、猟犬を見れば形を現わすが、千年の妖なら、千年の神木の火で見ればきっと形を現わす」
と言った。雷孔章が、
「そんな神木がどこにあるか」
と言うと、張華は、
「燕の恵王の塚の前の華表木が千年を経ているということだ」
と言って、使をやってその木を取らした。その使が木の近くにゆくと、空に青い着物を着た小児が現われて、
「君はどこからきたのか」
と言った。使は、
「張司空の処から華表木を取りにきた」
と言った。すると小児は、
「あの古狸が馬鹿で、わしの詞を聞かなかったから、わしにも禍が及んできた」
と言って泣きだしたが、すぐ見えなくなった。