私信
本文約570字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
叔母からの将来を案じる手紙を受け取った書き手が、返信という形で自身の生き方を綴る。明日を思い煩い計画を立てるのではなく、今日一日を懸命に生きることの大切さを説く。虚栄や打算を排し、誠実に努力を重ねることこそが全生涯に繋がると主張する。未来を疑わず、無邪気に信じ抜くことで文学の道を歩み続ける決意を示し、不安を抱く叔母へ安心を促す内容を収める。
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叔母さん。けさほどは、長いお手紙をいただきました。私の健康状態やら、また、将来の暮しに就いて、いろいろ御心配して下さってありがとうございます。けれども、私はこのごろ、私の将来の生活に就いて、少しも計画しなくなりました。虚無ではありません。あきらめでも、ありません。へたな見透しなどをつけて、右にすべきか左にすべきか、秤にかけて慎重に調べていたんでは、かえって悲惨な躓きをするでしょう。
明日の事を思うな、とあの人も言って居られます。朝めざめて、きょう一日を、充分に生きる事、それだけを私はこのごろ心掛けて居ります。私は、嘘を言わなくなりました。虚栄や打算で無い勉強が、少しずつ出来るようになりました。明日をたのんで、その場をごまかして置くような事も今は、なくなりました。一日一日だけが、とても大切になりました。決して虚無では、ありません。
いまの私にとって、一日一日の努力が、全生涯の努力であります。戦地の人々も、おそらく同じ気持ちだと思います。叔母さんも、これからは買い溜などは、およしなさい。疑って失敗する事ほど醜い生きかたは、ありません。私たちは、信じているのです。一寸の虫にも、五分の赤心がありました。苦笑なさっては、いけません。無邪気に信じている者だけが、のんきであります。私は文学をやめません。私は信じて成功するのです。御安心下さい。
完