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TORENDIA

安吾の新日本地理

本文約27,500字 ・ 読了時間 約55分

あらすじ(AIが作成しました)

飛騨は古代史上重大な記事が欠落した土地であるが、古代の交通路や天武・持統天皇による特殊な扱いから、隠された史実の存在を疑わせる。本書は、飛騨に伝わる両面宿儺伝説と大友皇子・天武天皇を巡る政治的背景を重ね合わせ、国史の偽装を考察する。また、飛騨の匠が遺した仏像の造形美を論じ、無名の職人たちの曇りない心境と技術が結晶した作品群の至高性を称賛しつつ、その土地に根付く風土を綴る。

坂口安吾

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飛騨(実にメンドウな字だから以後カナで書かせてもらいますよ)は日本の古代史では重大きわまる土地であります。

隣りの信濃はタケミナカタの神がスワ湖へ逃げてきて天孫に降参したという国ゆずり事変の最後の抵抗地点で日本神話では重要なところだ。ところが、現天皇家が本当に確立の緒についたとみられる天武持統の両御夫妻帝(天武は天智の弟で、天智の御子大友親王≪弘文天皇≫を仆して皇位に即き、実質的には現天皇家の第三祖に当られる御方のようです)はヒダとスワの両国に対して特にフシギな処置をほどこしております。スワは信濃の国に属しておりますが、一時分離されてヒダ、スワと二国特別の扱いをうけた。その理由は国史の表面には一度も説かれておりません。特にヒダは古代史上、一度も重大な記事のないところで、昔から鬼と熊の住んでいただけの未開の山奥のようだ。ところが国史の表面には一ツも重大な記事がないけれども、シサイによむと何もないのがフシギで、いろいろな特殊な処置がある隠されたことをめぐって施されているように推量せざるを得なくなるのです。

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