自己を中心に
本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
自己を中心に据えて仕事をすること、主体を確立して自主性を取り戻すことの重要性を論じる。外部の強制に頼らず自身の設計に基づいて思索や執筆に取り組むことこそが、社会への貢献にもつながると説く。さらに、自己の能力や才能を浪費せずまとまった成果を残すための長期建設策として、長編的な仕事への志向や、官学とは異なる民間アカデミズムの形成と発展という展望を綴る。
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まだ迷いはなかなか無くならないが、迷いながらもやや安心していられる年齢に私も達したように思う。
人生の上でも、仕事の上でも、私はすでに多くのことを経験してきた。そして翻って考えるとき、私はやはり自分自身に還り、その上に腰を据えてやってゆくのほかないと思う。自分を中心にして仕事をしてゆくこと、それがけっきょく社会のために尽くすことになるのだと考える。自分というものを抽象して社会はないはずである。
わが長期建設策はと問われて、私の答えていいたいのは、この自分自身に還って仕事をするということである。まず主体を確立するということが、長期建設の要件でなければならぬ。四囲の事情にただ引摺られていては長期建設はできない。自分で自分の仕事の設計をするという自主性を取り戻すことが今の私には特に必要である。
しかし事実としては、外部からの強制がないと仕事はなかなかできないものだ。そこで私は雑誌連載という形式を選んでみたのである。『思想』に連載中の「構想力の論理」、『文学界』に書いている「人生論ノート」、それから新たに『知性』に書き始めた「哲学ノート」。今年はこれら三つの連載物をなるべく休まないで書き続けてゆくということがまず私の仕事である。わが長期建設策はさしあたりそこらにある。『構想力の論理』第一巻は、これまで書いた分を訂正増補して近々出版することになっている。全部で三巻になる予定であるが、これが完成すれば私の仕事にも多少基礎ができることになると思う。