奇妙な遠眼鏡
本文約6,600字 ・ 読了時間 約14分
あらすじ(AIが作成しました)
片目の少年リイは、不思議な老婆から手渡された遠眼鏡を使って月の世界へ辿り着く。リイは遠眼鏡越しに、鉄砲と刀で王となり争う二人の兄の姿を眺め、彼らの不和を憂う。やがて争いが激化すると、リイは元の世界へ舞い戻り、兄たちに武器を取り上げ仲直りを諭す。月の世界で癒やされ両目が開いたリイが見守る中、兄たちは改心し、以後は平和に暮らすことになる。
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ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。
その中で三番目のリイは一番温柔しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメッカチメッカチとイジメてばかりおりました。
リイは外へ遊びに行っても、ほかの子供にやっぱしメッカチメッカチと笑われますので、いつもひとりポッチであそんでいましたが、感心なことに、どんなに笑われてもちっとも憤ったことがありませんでした。
ある時、三人の兄弟はお父さんとお母さんに連れられて、山一つ向うの町のお祭りを見に行きましたが、その時お父さんが、
「今日は三人に一つずつオモチャを買ってやるから、何でもいいものを云ってみろ」
と云われました。
アアは、
「何でも狙えばきっとあたる鉄砲がいい」
と云いました。サアは、
「何でも切れる刀が欲しい」
と云いました。又リイは、
「どこでも見える遠眼鏡が欲しい」
と云いました。
これを聞いたお父さんとお母さんはお笑いになって、
「お前達の云うものはみんな六ヶしくてダメだ。それにアアのもサアのも、鉄砲だの刀だの、あぶないものばかりだ。そんなものを欲しがるものじゃない。リイを見ろ。一番ちいさいけれども温柔しいから、欲しがるものでもちっともあぶなくない。みんなリイの真似をしろ」
と、兄さん二人が叱られてしまいました。そうして何も買ってもらえずに、只お祭りを見たばかりでお家へ連れて帰られました。
アアとサアと二人の兄さんは大層口惜しがって、今夜リイをウンとイジめてやろうと相談をしましたが、リイはチャンときいて知っておりました。
その晩、兄弟三人は揃って、
「お父さんお母さん、お先へ……」
と云って離れた室に寝ますと、間もなくアアとサアは起き上って、リイをつかまえて窓から外へ引ずり出して、そのまま窓をしめて寝てしまいましたが、リイは前から知っていましたから、声も出さずに兄さん達のする通りになっていました。
リイはそのまま窓の外の草原に立って、涙をポロポロこぼしながら東の方を見ていますと、向うの草山の方が明るくなって、黄色い大きなお月様がのぼって来ました。