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TORENDIA

私のすきな人

本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

インドのガンジーや随筆家である内田百間との交流、そして日常の中で感じた人々の温もりを綴る。信念のために断食を行うガンジーの生き様に深い敬愛を抱く一方、夜遅くにいたずらを仕掛ける百間との滑稽なやり取りや、散歩の合間に学問を教わった思い出を振り返る。視覚に頼らず、声や振る舞いを通じて他者の優しさや誠実な心を感じ取る筆者の視点から、縁のある人々への親愛の情と豊かな人間模様を描き出す。

宮城道雄

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🎧 私のすきな人 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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私のすきな人はたくさんあるので、みな書くことは出来ないが、最近倒れた印度のガンジー翁などはすきである。ラジオや新聞によると、ガンジーは、いつもヤギの乳や、ナツメの実ばかり食べて生活していたとか、それに何か願いごとがあると、よく断食をやったが、その時は、むろんこのヤギの乳も、ナツメの実も食べなかったのであろう。

私は子供の時に気に入らないことがあると、怒って御飯を食べないことがよくあった。しまいには、みな愛想をつかして、相手になってくれなかった。ところがガンジーが食事をしないと、世界中の人が注目する。これは信仰のため、世のために行われるからであるが、私は子供の時に、自分がやったつまらないことと比べて、考えてみたことがあった。

ガンジーは、自分をピストルで射った相手をもうらまずに、助けてやるようにと言われたそうである。ガンジーのお葬式の日には、何十万という民衆が、地方から集って来て、ガンジー夫人が、棺へ火をつけて、炎が燃え上った時には、人々が声をあげて、花束を投げこんだというニュースを聞いて、私は広い川のほとりの、この光景を想像して、何か詩のような感じがした。私はずっと以前から、何かしらガンジー翁がすきであった。

私のすきなお友達の中で、内田百間先生は、随筆で有名な人であるが、手紙をちょっとよこしても、なんでもないことが書いてあるようでいて、それを読んでいると、どことなく面白いのである。

百間先生は箏がすきで、中学時代に、自転車で箏を習いにいったそうである。前のころであったが、まるでスポーツでもやるような気分で、夏の暑い時など、肌ぬぎで汗を流しながら、箏をジャンジャン練習していた。そして、ロシヤ文学の米川正夫先生と、箏の合奏をするのを、試合をやろうやろうと言っておった。また若いころ百間先生は法政大学の先生をしていたが、夜おそく、私の寝ている二階の雨戸をステッキでゴツゴツ叩くのである。私が驚いて戸を開けると、もういない。

またある朝、家の者が起きてみると、家の前にあったごみためが、遠くの方へ持っていってあったり、私の箏を教えるという看板が、他所の所へかけてあったりした。

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