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TORENDIA

ディカーニカ近郷夜話 後篇

本文約51,500字 ・ 読了時間 約103分

あらすじ(AIが作成しました)

冬の寒さが厳しい降誕祭の前夜、一軒の煙突から妖女が飛び立つ。一方、空では悪魔が月を盗み出し、闇に紛れて人間の世界を誑かそうと画策する。ディカーニカを舞台に、美貌の娘に恋心を寄せる腕利きの鍛冶屋ワクーラを軸として、魔法使いのパツュークや哥薩克のチューブらが織りなす騒動を描く。悪魔の悪戯と、頑固な親を説得して想いを遂げようとする若者の奮闘が、村の生活を背景に繰り広げられる。

ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli

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降誕祭まへの最後の日が暮れた。冬の、よく澄みわたつた夜が来た。星はキラキラと、輝やきはじめ、月は、善男善女が楽しく★讚仰歌を流しまはつて基督を頌へることの出来るやうに、あまねく下界を照らすため、勿体らしく中空へと昇つた。寒気は朝よりもひとしほ厳しくなつたが、そのかはり、靴の下で軋む凍てた雪の音が半露里もさきまで聞えるほど物静かな夜である。まだ若い衆連の群れは民家の窓下へ姿を見せず、ただ月のみが、身支度に余念のない娘たちを一刻も早く、足もとで軋音を立てる雪の上へ駈け出させようと、誘惑するもののやうに、家々の窓をばそつと覗き込んでゐるだけであつた。ちやうどその時、一軒の民家の煙突から、一朶の煙がむくむくと吐き出されて、黒雲のやうに空へ棚引いたが、その煙といつしよに、箒に跨がつた妖女が宙空へたち昇つた。

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