わが心の女
本文約5,900字 ・ 読了時間 約12分
あらすじ(AIが作成しました)
北緯七十五度の氷海に浮かぶQ島へ特派員として派遣された主人公は、透明主義を掲げるこの地で、精神科への入院や女性解放を掲げる研究に触れ、やがて看護婦の阿耶に恋心を抱く。島で勃発した革命の騒ぎに巻き込まれる中で、主人公は阿耶の意外な側面を目の当たりにし、禁断の愛と政治的な動乱が交錯する極限状況下で、苦悩と喪失の渦中に身を投じていく様子を描く。
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僕がこのQ島に来てから二週間の見聞は、すでに三回にわたつてRTW放送局へ送つたテレヴィによつて大体は御承知かと思ふ。僕の滞留許可の期限は明日で切れるのだが、思ひがけぬ突発事故のため、出発は相当延びることになりさうだ。その突発事故といふのは、第一には僕を襲つた恋愛であり、第二には、昨日この島に勃発した革命騒ぎだ。島の政府は、それを反革命暴動と呼んで、規模も小さいし、もはや鎮定されたも同様だと、すこぶる楽観的な発表をしてゐるけれど、僕の見るところでは、事態はさほど簡単ではないやうだ。
ともあれ、革命騒ぎのため、電波管理は恐ろしく厳重になつた。殊に外国人は一切発信の自由を奪はれ、僕の携帯用テレヴィ送信器も一時差押へをくつてゐる。空港はすべて、軍用ないし警察用の飛行機のほか離着陸を禁止された。僕は手も足も出ないのである。そこで僕は、密航船といふ頗る原始的な手段に、この通信を託することにする。もつともそれだつて、きびしいレーダ網を果して突破できるかどうか。万全を期するため、ついでにコピーを一通つくつて、壜に密封して海中に投じることにしよう。この早手廻しの遺書(?)が、結局無用に帰することを僕は祈る。失恋と革命騒ぎと――この二重の縛しめから、明日にも解放されんことを僕は僕のために祈る。