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TORENDIA

アケビ

本文約3,100字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

野山に実るアケビは、秋の風物詩として古くから人々に親しまれてきた。熟すと果皮が裂け、白い果肉を覗かせる独特の姿から「山女」や「山姫」とも呼ばれる。本書は、この果実の食文化や語源の諸説、薬用としての歴史、そして植物学的な分類や特徴を論じる。また、古今の俳人や歌人がいかにこの風情ある植物を愛で、連歌や俳句に詠んできたかを紹介し、その名の由来や実態、利用方法に至るまでを多角的な視点で詳細に綴る。

牧野富太郎

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🎧 アケビ / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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野山へ行くとあけびというものに出会う。秋の景物の一つでそれが秋になって一番目につくのは、食われる果実がその時期に熟するからである。田舎の子供は栗の笑うこの時分によく山に行き、かつて見覚えおいた藪でこれを採り嬉々として喜び食っている。東京付近で言えば、かの筑波山とか高尾山とかへ行けば、その季節には必ず山路でその地の人が山採りのその実を売っている。実の形が太く色が人眼をひく紫なものであるから、通る人にはだれにも気が付く。都会の人々には珍しいのでおみやげに買っていく。

紫の皮の中に軟らかい白い果肉があって甘く佳い味である。だが肉中にたくさんな黒い種子があって、食う時それがすこぶる煩わしい。

中の果肉を食ったあとの果皮、それは厚ぼったい柔らかな皮、この皮を捨てるのは勿体ないとでも思ったのか、ところによればこれを油でいため、それへ味をつけて食膳に供する。昨年の秋箱根芦の湯の旅館紀伊の国屋でそうして味わわせてくれた。すこぶる風流な感じがした。

今日でもそうかも知らんが、今からおよそ百年ほど前にはその実の皮を薬材として薬屋で売っていた。それは肉袋子という面白い名で。

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