夢がたり
本文約5,900字 ・ 読了時間 約12分
あらすじ(AIが作成しました)
桜畑の木陰で、暑さを避けて集まった動物や昆虫たちが、それぞれの生き方や「世界」に対する見解をめぐり、真面目な議論を交わす。勤勉さを主張するくそ虫や働き蟻、人生の楽しみを語るこおろぎ、広い世界を経験した年老いた栗毛の馬、目の前の生活を重んじるかたつむりや毛虫など、異なる価値観を持つ者たちが自身の信念を語る。多様な意見が飛び交う中、彼らは議論を通じて互いの考えや生命のあり方に向き合っていく。
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六月のある素晴らしい日のこと――ただし素晴らしいと月並みなお断りをしたのは、列氏で二十八度という温度だったからですが――その素晴らしい六月のある午後のこと、どこもかしこもきびしい暑さでした。なかでもつい四五日まえに刈り入れの済んだ乾草が、禾堆をなして並んでいる庭の草場は、またひとしおの暑さでありました。というのはその場所が、茂りに茂った桜畑で、風上をさえぎられていたからなのです。生きとし生けるものは、たいてい寝入っておりました。人間どもはどっさり御飯をつめ込んで、昼寝の夢をむさぼっていましたし、小鳥も鳴りをひそめていますし、昆虫たちもたいていは日ざしを避けて、どこかへもぐり込んでいたほどでした。家畜のことは申すまでもありません。大きな家畜も小さな家畜も、みんな軒下にかくれておりました。犬はどうかと言いますと、穀倉の下に穴を掘って、その中に寝そべって、半ば眼を閉じたまんま、一尺あまりもありそうな桃色の舌を吐きだして、しきりにハアハアいっておりました。ときどき犬は、このうだるような暑気のもよおす物憂さにたえかねてでありましょう、のどの奥からキューンと妙な音が出るほどの、大きなあくびをするのでありました。豚はどうかといいますと、お母さんが総勢すぐって十三匹の子豚を引きつれて、小川の岸へおりて行って、ぶくぶくした黒い泥んこの中にうずくまってしまいましたので、泥の中から見えるものといったら、ブウブウグウグウ鳴っている小さな穴が二つずつあいている豚の鼻づらと、泥んこになった細長い背中と、それにたれ下がっているみっともないほど大きな耳だけでありました。ただ鶏だけは、暑さにもめげずに、台所の登り口の下のからからにかわいた地面を、しきりにあしでほじくりながら、どうにか時間つぶしをしていましたけれど、そこにはもう鶏たちも先刻ご承知のとおり、穀粒ひとつだって残ってはいないのです。とは知りながらも、雄鶏はときどき何か癪にさわることがあると見えます。その証拠には、雄鶏はときどき間の抜けた様子をして、のどもさけよと叫び立てるのでした、――『結構ドコロジャアリャシナーイ』