青い時計台
本文約3,500字 ・ 読了時間 約7分
あらすじ(AIが作成しました)
毎日晩方に町の方から聞こえてくる不思議で美しい音色に魅せられたさよ子は、その正体を確かめるために遠くの町へ出かける。ある夜、彼女は月光に照らされ青く光る時計台のある家を見つけ、楽器を演奏し歌う家族の姿をのぞき見る。やがて家族の生活は変化していくが、ある夜を境に音色は聞こえなくなり、再び訪れたさよ子が見たのは、売りに出され静まり返った時計台と冷たい秋の星空であった。
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一
さよ子は毎日、晩方になりますと、二階の欄干によりかかって、外の景色をながめることが好きでありました。目のさめるような青葉に、風が当たって、海色をした空に星の光が見えてくると、遠く町の燈火が、乳色のもやのうちから、ちらちらとひらめいてきました。
すると毎日、その時分になると、遠い町の方にあたって、なんともいえないよい音色が聞こえてきました。さよ子は、その音色に耳を澄ましました。
「なんの音色だろう。どこから聞こえてくるのだろう。」
と、独り言をして、いつまでも聞いていますと、そのうちに日がまったく暮れてしまって、広い地上が夜の色に包まれて、だんだん星の光がさえてくる時分になると、いつともなしに、その音色はかすかになって、消えてしまうのでありました。
また明くる日の晩方になりますと、その音が聞こえてきました。その音は、にぎやかな感じのするうちに、悲しいところがありました。そして、そのほかのいろいろの音色から、独り離れていて、歌をうたっているように思われました。で、ここまで聞こえてくるには、いろいろのところを歩き、また抜けたりしてきたのであります。町の方には電車の音がしたり、また汽車の笛の音などもしているのでありました。
さよ子は、よい音色の起こるところへ、いってみたいと思いました。けれども、まだ年もゆかないのに、そんな遠いところまで、しかも晩方から出かけていくのが恐ろしくて、ついにゆく気になれなかったのでありますが、ある日のこと、あまり遅くならないうちに、急いでいってみてこようと、ついに出かけたのでありました。
二