一本の釣りざお
本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
さびしい海岸に住む二人の貧しい漁師は、日々助け合って働いていた。ある日、料理した鯛の腹から真珠を見つけた一人は生活が一変し、大金を手にする。一方、相方は貸してもらった金で新たな釣りざおを買い求め、変わらず地道な漁を続ける。真珠を売った金が尽き、再び困窮した漁師は、かつての粗末な暮らしと、地道に働く仲間の大切さを改めて悟り、再び海と向き合っていく。誠実な労働の尊さを描く物語である。
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一
あるさびしい海岸に、二人の漁師が住んでいました。二人とも貧しい生活をしていましたから、町や都に住んでいる人々のように、美しい着物をきたり、うまいものをたくさん食べたり、また、ぜいたくな暮らしなどをすることは、思いもよらないことでありました。
二人は、どうかして、もっといい暮らしをしたいものだと思いましたけれど、どうすることもできなかったのです。青い海の面を見つめながら、二人は、そのような幸福になれる日のことばかり考えていました。
「いくら考えたってしかたがないことだ。俺たちは働くより途がないのだ。」と、乙は甲を悟し、自分を勇気づけるようにいいました。
「それはそうだが、このうえ俺たちは働くこともできないじゃないか。」と、甲は、ため息をしながら答えた。
ほんとうに、二人は、雨の降る日も、また風が吹いて、少々波が高いような日でも、船に乗って沖に出て、網を打ったり、魚を釣ったりしたのであります。
なにごとも二人は、たがいに助け合いました。そして、たいていはいっしょに働いていたのであります。けれど、人間の運というものは、まことに不思議なものでありました。こうして、同じ船に乗って、同じく働いても、一人に幸い、一人にはなんでもないこともあるものです。
二
ある春の日のことでありました。陸には、桜の花の咲く時分でありました。二人は、北の青い海の上に出て釣りをしていました。たいがかかる時分でありました。いくら二人は、こうしていっしょうけんめいになってたいを釣っても、それを自分たちが食べることはできなかった。みんな町の魚屋に売ってしまって、その金で家族のものを養わなければならなかったのです。
「ほんとうに、俺たちは、こうして毎日たいをとっても自分たちの口に入らないのは、考えると、つまらないことだ。今日はひとつ自分が料理をして子供らにたべさせてやろう。」と、甲がいいました。
「ほんとうに、そうだ。私も、家に帰ったら、ひとつ料理をして子供や妻に食べさしてやろう。」と、乙がいいました。