本文へ移動
TORENDIA

酔っぱらい星

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

貧しい生活を送る少年佐吉は、夜ごと高窓から見える星に、かつて出会った鳥をくれたおじいさんの面影を重ねる。ある凍てつく夜、佐吉は酒を買いに行く途中で再びそのおじいさんと遭遇する。寒さに震えるおじいさんは佐吉の持っていた酒を飲み干し、千鳥足で夜空へ帰っていく。翌朝、佐吉たちがその場所で拾った不思議な石を売ったことをきっかけに、父子は困窮した生活から救われ、幸福な暮らしを送るようになる。

小川未明

速度
🎧 酔っぱらい星 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 5

佐吉が寝ていると、高窓の破れから、ちらちらと星の光がさしこみます。それは、青いガラスのようにさえた冬の空に輝いているのでありました。

仰向けになって、じっとその星を見つめていますと、それが福々しいおじいさんの顔になって見えました。おじいさんは、頭に三角帽子をかぶっています。そして、やさしい、まるまるとした顔をして、こちらを見て笑っています。佐吉には、どうもこのおじいさんが、はじめて見た顔でないような気がするのでありました。

「どこで、このおじいさんを見たろう。」と、佐吉は考えながら、星を見上げていますと、さまざまの幻が目に映ってくるのでありました。

去年の暮れのことでありました。佐吉が独り町を歩いていますと、いつもは寂しい町でありましたけれど、なにしろ年の暮れのことですから、人々が急がしそうに道をあるいていました。また、商店は、すこしでもよけいに品物を売ろうと思って、店先をきれいに飾って、いたるところで景気をつけていました。

佐吉は、それらの有り様をながめながら歩いていますうちに、ある教会堂の前にさしかかったのです。ちょうどその日は、クリスマスのお祭りでありましたので、その教会堂の中はにぎやかでありました。ここばかりは、平生からだれがはいってもいいと聞いていましたので、佐吉は、おそるおそる入り口まで近寄ってその内をのぞいてみますと、そこには、子供や、大人がおおぜい集まっていました。いい音色のする音楽につれて、みんなは楽しそうに唄をうたっていました。そして、一本の脊の高い常磐木を中央に立てかけて、それには、金紙や、銀紙が結びつけてあり、また、いろいろの紅や、紫のおもちゃや、珍しい果物などがぶらさがっていました。

小川未明の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本