ふるさとの林の歌
本文約4,300字 ・ 読了時間 約9分
あらすじ(AIが作成しました)
毎日山へ通う娘は、ある日林で独りぼっちの小鳥と出会う。小鳥は町を見ずに清らかなまま生きる大切さを説き、娘に命と歌を託して去る。その後、町を知る別の小鳥が林を訪れ、都会の美しさを語り、かつての友の歌を求めた。娘がその歌を歌うと、小鳥はかつての記憶を呼び起こしながら息絶える。自然の純粋さと外の世界の誘惑を対比させながら、林で生きる者の絆と葛藤を描く物語である。
💰 この本を応援する(投げ銭)
娘は毎日山へゆきました。枯れ枝を集めたり、また木の実を拾ったりしました。
そのうちに、雪が降って、あたりを真っ白にうずめてしまいました。娘は家の内で親の手助けをして、早く春のくるのを待ったのであります。それは、どんなに待ち遠しいことでありましたでしょう。やがて、物憂い、暗い冬が、北へ、北へとにげていきました。
春になると、雪がだんだん消えてしまいました。野にも、山にも、いろいろな花が咲きました。その季節が過ぎると、山には、こんもりとした緑の葉がしげって、暖かな心地よい風が岡にもふもとにも吹き渡りました。大空は美しく晴れて、うららかな日の光がみなぎったのであります。
娘は、朗らかな声で歌をうたいながら、山へ入ってゆきました。春、夏、秋、冬はこうして過ぎました。そして、娘は、だんだん大きくなったのであります。
ある日のこと、娘は、山の林の中へいつものごとく入ってゆきました。すると一羽のかわいらしい小鳥が、いい声で鳴いていました。彼女は、しばらく立ち止まって、その小鳥の枝に止まって鳴いているのを見守っていましたが、
「ああ、なんというかわいらしい小鳥だろう。あの真っ黒な目のきれいなこと、ほんとうにほんとうにかわいらしいこと。」と、彼女はいいました。
すると、この言葉を聞きつけて、小鳥は歌をやめて、じっと娘の方をながめていました。
「どうか私をかわいがってください。」と、小鳥はいいました。
「私は、兄弟も、姉妹もない独りぼっちなのです。毎日、この林の中をさまよって、独りでさびしく歌っています。」と、小鳥はつづけていいました。
娘は、小鳥のいうことを聞くと、
「かわいい小鳥さん、私は、かわいがってあげますよ。しかしどうして、そんなにおまえさんの目は、すきとおるように美しいんでしょう。」と問いました。