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TORENDIA

赤い姫と黒い皇子

本文約4,200字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

隣国から縁談を申し込まれた赤い着物の姫君は、相手の皇子が黒い馬車に乗る片目の人物だと知り、結婚を迷う。予言者に不吉な未来を告げられ、逃亡を決意し船で島を目指すが、金銀の重みで船は沈み始める。姫の行方を知った皇子は馬車で追跡し、やがて海中へと消えた。人々の間では、今も姫を慕って空を駆ける皇子の姿が語り継がれている。

小川未明

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🎧 赤い姫と黒い皇子 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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ある国に美しいお姫さまがありました。いつも赤い着物をきて、黒い髪を長く垂れていましたから、人々は、「赤い姫君」といっていました。

あるときのこと、隣の国から、お姫さまをお嫁にほしいといってきました。お姫さまは、その皇子をまだごらんにならなかったばかりでなく、その国すら、どんな国であるか、お知りにならなかったのです。

「さあ、どうしたものだろうか。」と、お姫さまは、たいそうお考えになりました。それには、だれか人をやって、よくその皇子の身の上を探ってもらうにしくはないと考えられましたから、お伴の人をその国にやられました。

「よく、おまえはあちらにいって、人々のうわさや、また、どんなごようすの方だか見てきておくれ。」といわれました。

そのものは、さっそく皇子の国へ出かけていきました。すると、隣の国から、人が今度のご縁談について探りにきたといううわさが、すぐにその国の人々の口に上りましたから、さっそく御殿にも聞こえました。

「どうしても、あの、美しい姫を、自分の嫁にもらわなければならぬ。」と、皇子は望んでいられるやさきでありますから、ようすを探りにきたものを十分にもてなして帰されました。

やがて、そのものは、立ち帰りました。お待ちになっていたお姫さまは、どんなようすであったかと、すぐにおたずねになりました。

「それは、りこうな、りっぱな皇子であらせられます。御殿は金銀で飾られていますし、都は広く、にぎやかで、きれいでございます。」と、家来は答えました。

お姫さまは、うれしく思われました。しかし、なかなか注意深いお方でありましたから、ただ一人の家来のいったことだけでは、安心をいたされませんでした。ほかに、もう一人、家来をやって、よくようすを探らせようとお考えになったのです。

「こんどは、ひとつ姿をかえてやろう。それでないと、ほんとうのことはわからないかもしれぬ。」と思われましたので、お姫さまは、家来を乞食に仕立てて、おつかわしになりました。

いろいろの乞食が、東西、南北、その国の都をいつも往来していますので、その国の人も、これには気づきませんでした。

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