あるところに、広い圃と、林と、花園と、それにたくさんな宝物を持っている人が住んでいました。この人は、もうだいぶの年寄りでありましたから、それらのものを、二人の息子たちに分けてやって、自分は隠居をしたいと思いました。
けれど、兄のほうも、弟のほうも、そろって怠け者でありました。兄のほうは、一日仕事もせずに、ぶらぶらと家の中で遊んでいました。そして、圃へ出て働いたり、外を歩いたりすることが大きらいでありました。
弟のほうは、兄とちがって、すこしも家におちついて勉強をするということがなかったのです。一日、外を遊びまわって、日が暮れると家を思い出して帰ってくるというふうでありました。しかし、圃へ出て働くということは、兄と同じように大きらいでありました。
二人の息子たちが、こんなふうに怠け者でありましたから、父親はほんとうに困ってしまいました。行く末のことなどが案じられて、どうかして、いい子供になってくれぬものかと、そればかり心に念じていました。
いくら、二人に向かって、「仕事をせよ。」といったり、また、「働けよ。」といっても、ぬかに釘でありました。
そのうちに、父親は、だんだん年をとって、ますます二人のことを考えると気になってならなかったのです。ある日のこと、ふと、父親は、なにか考えると、二人を自分の前に呼びました。兄と弟は、なにごとだろうと思って、父親の前にすわって、顔をながめました。
「私は、もうだいぶ年を老った。早く財産をおまえがたに分けてやって、隠居をしたいと思う。けれど、そのかわりおまえがたは、私のいいつけたことをしなければならない。」と、父親はいいました。
「お父さん、私たちのできることなら、なんでもいたします。むずかしいことでなければ。」と、兄と弟はいいました。
父親は、兄に向かって、
「おまえは、外を歩くことがきらいだから、夜になったら、空に出る星の数を数えてみれ。目に見えるのだけ、いくつあるか、当てたなら財産を分けてやる。」
父親は、弟に向かって、