托児所のある村
本文約3,000字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
村の托児所で、子供たちが自然の中で楽しげに過ごす平和な時間が流れている。ある日、視察に訪れた役人や学者の一行により、その穏やかな空気は一変する。子供たちは権威ある来訪者に萎縮し、いつもの活気を失ってしまう。その様子を近くで写生していた義足の青年画家は、一行に対し、子供たちが恐怖を感じているのは彼らの高圧的な態度が原因であると指摘する。人間本来の純粋な親しみと平和な共存のあり方を描く。
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村は静かでありました。
広々とした、托児所の庭にだけ、わらい声がおこったり、子供たちのあそびたわむれるさけび声がして、なんとなく、にぎやかでありました。
よく晴れた、青い青い大空には、ぽかりと、一つ白い雲が、浮かんでいました。雲も、下のこのようすをながめて、うらやましがっているようでした。
若い保母さんも、元気でした。子供といっしょになって、かけたり、おどったりしていました。くつをはいた子供、ぞうりをはいた子供、げたをはいた子供、いろいろでした。また着ているものも、さまざまでした。
けれど、そんなものは、だれの目にも入りません。ただ、みんなは、光の海を泳ぐように、かみの毛を風に波立たせ、たのしくて、しかたがないと、小さい胸をふくらませていました。
さっきから、いくたびか、つばめが、子供たちの頭の上を、とびまわっていきました。
それを見た一人の子が、
「つばめも、おにごっこしているんだね。」と、いいました。
「そうよ。いいお天気だから、よろこんで、あそんでいるのよ。」と、一人の子が、こたえました。
これを聞いた保母の娘さんは、
「つばめばかりでなくてよ。ごらんなさい。あの木の枝がダンスをしているでしょう。」と、いいました。
「ああ、おかしい。ダンスだって。」
「ほんとうだわ。よく見ると、おどっているようよ。」
こう、みんなが、まわりの木や、鳥や、草に、気のついたときに、はじめて、自分たちがうれしいときには、まわりのものが、やはり、みんなうれしく、たのしくあるのが、わかりました。
さっきから、すずめも、おしゃべりし、わらったり、とびまわったりしていたし、花だんの、白い花は、いつもより、かおりが高かったし、赤い花は、とけて流れそうに、色つやをおびて、美しかったのです。
ああなんという、たのしい一時だったでしょう。そして、めぐみ深く、こぼれるようにてらす太陽の光と、さえずる鳥の声と、自然の子たち、子守歌のようにささやく風の音より、この平和の世界を、じゃまするものは、なかったのでした。