ねずみの冒険
本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
腹を空かせて罠にかかった一匹のねずみは、ものぐさな家主に命を狙われる。自動車にひかせて処分しようという家主の計画は失敗し、ねずみは間一髪で逃げ出す。別のすみかを求めて電線を渡るという危険な冒険を決意したねずみは、途中、空気銃を持った少年に見つかってしまう。撃たれることを覚悟するが、健気な姿に心を打たれた少年たちは、ねずみが無事に渡りきるまで息を呑んで見守り、最後にはその成功を祝う。
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一匹のねずみが、おとしにかかりました。夜中ごろ天井から降りて、勝手もとへ食べ物をあさりにいく途中、戸だなのそばに置かれた、おとしにかかったのです。空腹のねずみは、あぶらげの香ばしいにおいをかいで、我慢がしきれなかったものでした。ねずみは、そのせまい金網の中で、夜じゅう出口をさがしながら、あばれていました。夜が明けると、ねまきを着た、この家の主人が、奥からあらわれました。
「大きいねずみだな。こいつだ、このあいだから、そこらをガリガリかじったのは。」
主人は、しばらく立って見ていました。
「どうしてくれようか。」
ものぐさな主人は、自分の手で殺さずに、ねこに捕らえさせることを考えました。それで、ねずみの入ったおとしを下げて、外へ出ました。
寒い朝で、路の上は白く乾いていました。前側の商店の小僧さんが、往来をはいていました。
「大きいやつが、かかりましたね。」と、ほうきを持つ手を休めて、ながめていました。
「ねこは、どうしました。」
「ねこですか? さあ、どこへいったか見えませんよ。」
「こいつをどうしようかな。」
「水の中へお入れなさい。」
「水の中へか。」
主人は考えこんでいました。バケツに水を入れなければならない。おとしの入る大きなバケツでなくてはならぬ。それから、死んだねずみの処置もしなければならぬ。いろいろのことが頭に浮かんで、めんどうくさくなってしまいました。
「バケツに水を入れて、つけたらいいでしょう。」と、小僧さんが、いいました。
「それがさ、やっかいなことだ。外へ出して、なぐったら死ぬだろう。」
「それは、死にますがね、ふたを開けたら、逃げやしませんか?」
「それもそうだ。よほどうまくやらなければな。」
こんな話をしているところへ、あちらから、自動車のブウ、ブウーという、警笛の音がしました。ものぐさな主人は、即座にいいことが思いついたのです。自動車にねずみをひき殺させようとしたのでした。
「これは、名案だ。」
主人はぐるぐるとおとしを、ふりまわして、中のねずみに、目をまわさせました。そして、自動車が近づいたときに、ちょうど車の下になりそうなところを見はからって、ふいに、ねずみを出しました。