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TORENDIA

はととりんご

本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

竹刀を抱えた新吉と正二は、往来で仕合のまねごとをして歩く。新吉は、飼っていた鳩を食べた猫を打ち損ねたことを正二に責められ、自身の優しさを後悔していた。帰り道、信号機を操作するおまわりさんに呼び止められた二人は、交通違反をした自転車の小僧を竹刀で打つよう命じられる。新吉はそれを拒み、正二を軽く打って走り去る。後日、一人で夕空を眺める新吉のもとに、小僧が通りがかり、紅いりんごを差し出す。新吉はそれを受け取り、冷たさとかおりを感じて笑みを浮かべる。

小川未明

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🎧 はととりんご / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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二人の少年が、竹刀をこわきに抱えて、話しながら歩いてきました。

「新ちゃん、僕は、お小手がうまいのだぜ。」

「ふうん、僕は、お胴だよ。」

「お面は、なかなかはいらないね。」

「どうしても、背の高いものがとくさ。正ちゃん、いつか仕合してみない。」

新吉は、お友だちの顔を見て、にっこりと笑いました。

「まだ、君と、やったことがないね。だが、新ちゃんを負かすと、かわいそうだからな。」

「だれが、正ちゃんに負けるものか。」

新吉は、自信ありげに肩をそびやかして、前方をにらみました。

「僕は、新ちゃんに負けない。」

「僕も、正ちゃんに負けない。」

二人は、道の上で、竹刀を振りまわしながら、仕合のまねごとを始めたのです。

「お小手。」

「お面。」

「おや、あぶのうございますよ。」

ふいに、どこかのおばさんが声をかけました。おばさんは、道の端の方へ体をさけていました。

「新ちゃん、あぶないからよそうや。」と、正二がいいました。

「ああ、よそう。」

二人は、往来で、こんなことをしてはよくないことに気がついて、ふたたびおとなしく、肩を並べて歩いていました。さっきのおばさんは、いきかけてから、ちょっと立ち止まって、振り向いて笑いました。

「正ちゃん、僕のはと、ねこにとられてしまった。」

「えっ、とられた。」

「どらねこがとったのだよ。君、知らない。尾の長い三毛ねこだ。はとが遊びから帰って、箱のトラップへはいるのを見ていたのだね。後からついてはいって、二羽とも食べてしまったのさ。出ようとしても、トラップの口があかないだろう。ねこのやつ、箱の中でじっとして、目を細くして眠っていたのだよ。」

「悪いやつだね。それからどうした。」

正ちゃんは、足を止めて、新ちゃんの顔を見ました。

「僕、どうしてやろうかと思って、おねえさんを呼んだのさ。おねえさんも二階へ上がってきて、『悪いねこだから、ひどいめにあわせておやり。』というから、僕、太いステッキを持ってきて、なぐろうと思ったのさ。箱の中から引き出そうとしても、お腹が大きくて、トラップの口から出そうもないのだよ。」

新吉は、そのときのことを思い出して、息をはずませました。

「なぐった。」

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