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TORENDIA

へちまの水

本文約2,200字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

冬の寒さに備え、あかぎれを癒やすへちまの水を伯母の家で分けてもらっていた少年・正雄は、小学校を卒業すると町の工場へ働きに出る。残された姉のとよ子は、弟の身を案じつつ、正雄の帰りを待つように自宅でへちまを育てる。からたちの木を征服し、力強く成長するへちまの姿を眺めながら、彼女は遠くで働く弟の逞しい成長を信じ、実ったへちまから冬に備えて水を取ろうと決意する、心温まる少年と姉の物語。

小川未明

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🎧 へちまの水 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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山へ雪がくるようになると、ひよどりが裏の高いかしの木に鳴くのであります。正雄は、縁側にすわって、切ってきた青竹に小さな穴をあけていました。

「清ちゃんのより、よく鳴る笛を造ってみせるぞ。そして、二人で林へいって、やまがらを呼ぶんだ。」

彼は、独り言をしながら、注意深く、細い竹に小刀で穴をあけていたのです。しかし、若竹で柔らかくて、うまく思うようにいかなかったのです。庭のすみに、寒竹が生えていました。

正雄は、庭に降りて、寒竹を切ろうとしたのです。

「あっ、それを切っては、だめよ。お父さんが、大事にしていなさるのだから。」と、姉のとよ子が見つけていいました。

「やはり清ちゃんのところへいって、聞いてこよう。」

正雄は、駈け出しました。

「清ちゃん、どこに、そんな竹があったの。」

「君、この竹は、枯らしてあるんだぜ。釣りざおにするって、福ちゃんのおじさんが、取っておいたのだけれど、先が折れたからといって、僕にくれたのだ。こんないい竹は、どこを探したって、あるものか。」

「僕も、そんな竹が、ほしいなあ。」

「君も笛を造るのかい。そんなら、残っている竹をあげよう。そして、穴をあけたら、後で、針金で中を一度通すといいよ。」

清ちゃんは、短い竹と、針金を持ってきて渡しました。

「ありがとう。できたら、林へいって、二人で、小鳥を呼び寄せる、競争をしようじゃないか。」と、正雄は、いいました。

「それには、お寺の林がいいよ。あすこには、やまがらも、こがらも、くるから。」と、清ちゃんが、いいました。正雄は、いい竹が手に入ると喜んで、家へもどってきました。

また、もとの場所へすわって、笛を造りにかかりました。

「清ちゃんのところへいって、いい竹をもらってきた。」と、姉さんに、いいました。

姉のとよ子は、弟が、小刀を使う手つきを見ていたが、

「もう、正雄は、あかぎれができたのね。伯母さんの家へいって、へちまの水をもらってくるといいわ。」といいました。

毎年冬になると、伯母さんの家へ、へちまの水をもらいにいくのでありました。

「こんどの日曜にいって、かきも、もらってこよう。」

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