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TORENDIA

山へ帰ったやまがら

本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

英ちゃんが飼育するよく馴れたやまがらは、ある日、窓から外へ飛び出して雑木の林へと消える。兄弟は必死に呼び戻そうと試みるが、自然の中へ飛び去った鳥は二度と戻らない。寒さの中、やまがらの安否を心配する兄弟に対し、鳥屋の主人は鳥が人間の手から離れて遠い山へと帰っていった事実を告げる。日常から離れたやまがらの行方と、それを受け入れ成長していく子供たちの心の変化を描く物語である。

小川未明

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🎧 山へ帰ったやまがら / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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英ちゃんの飼っているやまがらは、それは、よく馴れて、かごから出ると指先にとまったり、頭の上にとまったり、また、耳にとまったりするので、みんなからかわいがられていました。

はじめのうちは、外へ飛び出すと、もうかごへはもどってこないものと思って、障子を閉めて、へやの中で遊ばしたものです。しかし、長いうちにいつしかここが、自分のすみかと思ってしまったので、すこしばかり遊ぶと、またかごの中へ入ってしまいました。そして、ここがいちばん安心だというふうに、頭をかしげて、いままでさわいで疲れたからだを、じっとして休めるのでありました。

「こんないい鳥はめったにないよ。」と、英ちゃんは、平常から自慢していました。

「どの鳥だって馴れれば同じさ。しかし子飼いでないと、なかなかこんなにならないそうだね。」と、兄さんがいいました。

お正月のある日のことでした。空にはたこのうなり音がしていました。英ちゃんは、やまがらに餌をやってから、わざとかごの口を閉めずにおきましたけれど、やまがらは、外へ出ようとしません。そのとき兄さんは口笛を吹いて、指を出して見せました。するとやまがらは、ついと飛んできて指に止まりました。

「障子をしめておかなくていい?」と、英ちゃんが、ききました。

「だいじょうぶだろう。外が、怖いんだから。」と、兄さんが答えました。

「空を見ているんだね。」

「さあ、もうかごへおはいり。」と、兄さんは、やまがらに向かって、指を動かして見せました。

ちょうど、裏庭の桜の木にすずめが止まって鳴いていました。やまがらは、その声にでも誘われたのか、ふいに窓から、家の外へ飛び出してしまいました。

「あっ、逃げた……。」と、英ちゃんは、あわてました。

「いま、もどるよ。」と、兄さんは、しきりに口笛を鳴らしながら、やまがらの行方を見守ると、どうして、そんなに羽がよくきくのかと思われるほど、一気に飛んで、やまがらは、隣の屋根を越してしまいました。

「英ちゃん、はやくいってごらんよ。あっちの林の方へいったようだ。」

兄さんは、自分もかごを持って、後から追いかけていきました。

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