ペスときょうだい
本文約3,300字 ・ 読了時間 約7分
あらすじ(AIが作成しました)
吹雪の夜、父親がとなり村へ出かけた。家には母を看護する太郎と秀吉の兄弟が残り、飼い犬のペスもいる。兄は父親を迎えに行こうとしないペスに苛立ち、無理やり嵐の中へ追い出した。夜が更けてもペスは戻らず、兄弟は後悔の念に駆られながら眠れない夜を過ごす。翌朝、二人はペスの身を案じながら、夜明けとともに探しに出かける決意を固める。
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風の吹くたびに、ひからびた落ち葉が、さらさらと音をたて、あたりをとびまわりました。空はくもって、木の枝がかなしそうにうごいています。急にお天気がかわりそうでした。
「雪がふると出られなくなるから、ちょっと、となり村まで用たしにいってくる。」と、父親は、身じたくをしながら、いいました。
「その間にぼくは、外につんであるまきをかたづけておこう。」と、兄の太郎がいいました。
「あまり暗くならぬうちに、お父さん、かえっていらっしゃい。」と、弟の秀吉はいいました。
「ご飯がにえたら、お母さんにあげて、先に食べておしまい。」と、父親は、戸口で兄弟に注意して、空をながめていましたが、
「寒さがちがうから、今夜は雪だろう。」と、いいました。
このとき、ペスは犬小屋でねていました。いつもなら、とびだしてきてあとをおうのですが、どうしたのか、音もたてなければ、姿も見せませんでした。
「ペスをつれていかないの。」と、太郎がいいました。
「ねているなら起こさずにおいておやり。」と、そのことばには、やさしみがありました。そして、もう父親は、門の方へ歩いていたのでした。
兄弟は、しばらくそこに立って、父親のうしろ姿を見おくりましたが、見えなくなると、
「ペスのやつ、気分がわるいのかな。」と、弟の秀吉は、小屋をかえりみながら、まず口をひらきました。
「なに、おうちゃくなんだ。きげんのいいときはしかってもついてくるが、わるいときはよんでもきやしない。」と、兄の太郎は、いまいましそうにいいました。
「しかし今日は、気分がわるいのだろう。」と、秀吉はペスの弁護をしました。あまり兄がおこっていたからでした。
「だってそうじゃないか。お父さんはペスの恩人なんだぜ。犬ころしにつれられていくところを、お金をやってたすけなさったんだ。こんな小さいうちに命をとられるのは、かわいそうだといって。」と、太郎がそのときのことを思い出していうと、
「ほんとうにうちへきたときは、ころころとしてかわいらしかったね。」と、秀吉もうなずきました。
「そのご恩をわすれては……。」