TRENDIA CLASSIC
チューリップの
芽
小川未明
1 / 1
チューリップは、土の中で、お母さんから、世の中に出てからの、いろいろのおもしろい話をきいて、早く芽を出したいものと思っていました。
「ちょうちょうは、どんなに、美しいの?」と、お母さんにたずねたりしました。
「そんなに、いそいではいけません。いい時分になったら、お母さんがいってあげます。それまでは、おとなしくして、待っておいでなさい。」と、お母さんは、さとされました。
けれど、今年出るチューリップは、がまんしていることができませんでした。
「お母さん、もう、芽を出してもいいでしょう。」といいました。
「いいえ、まだ、いけません。」と、お母さんは許されなかったのです。
けれど、とうとうチューリップは、がまんができなくなって、銀色のかわいらしい芽を土の上へ出しました。
なんという明るい世界でありましたでしょう。けれど、まだ、すこし早かったので、太陽は遠く、風が寒うございました。かわいらしいチューリップは、身ぶるいしなければなりませんでした。
しかし、一度、芽を出したからは、もはやどうすることもできませんでした。チューリップは、土の中の暗い世界が恋しくなって、お母さんのいうことを聞かなかったことを後悔しました。
このとき、畑をみまってきた、しんせつなおじいさんは、チューリップの芽が、ふるえているのを見て、「ああ、まだすこし早い。いま出たら霜に傷んでしまおう。」といって、くわで、チューリップの頭の上へ、土をかけてくれました。
チューリップは、ふたたび、暖かな世界へはいって、春のくるのを待つことになりました。
小川未明の他の作品
TRENDIA CLASSIC
愛に就ての問題
小川未明
愛に就ての問題
小川未明
TRENDIA CLASSIC
愛は不思議なも
の
小川未明
愛は不思議なもの
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青い草
小川未明
青い草
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青い玉と銀色の
ふえ
小川未明
青い玉と銀色のふえ
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青い花の香り
小川未明
青い花の香り
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青いボタン
小川未明
青いボタン
小川未明
TRENDIA CLASSIC
赤いえり巻き
小川未明
赤いえり巻き
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青葉の下
小川未明
青葉の下
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青い星の国へ
小川未明
青い星の国へ
小川未明
TRENDIA CLASSIC
あかい雲
小川未明
あかい雲
小川未明
TRENDIA CLASSIC
赤い魚と子供
小川未明
赤い魚と子供
小川未明
TRENDIA CLASSIC
青いランプ
小川未明
青いランプ
小川未明