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TORENDIA

ちょうせんぶなと美しい小箱

本文約2,500字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

友人宅で珍しいちょうせんぶなを見た正吉は、金魚売りからそれを買おうと熱望する。家族の反対で断念する代わりに、姉から念願の美しい小箱を譲り受ける。後日、その小箱から物音が聞こえ、中を開けると白砂糖と共に大切に隠されていたかぶと虫が現れる。生き物にとって狭い場所は御殿ではなく牢屋だと諭された少年は、虫を森へと逃がしにいく。

小川未明

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🎧 ちょうせんぶなと美しい小箱 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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正吉くんは、はじめて小田くんの家へあそびにいって、ちょうせんぶなを見せてもらったので、たいそうめずらしく思いました。

「君、この魚はどこに売っていたの?」

「このあいだ、おじいさんが売りにきたのを買ったのだよ。」と、小田くんはいいました。

「こんどきたら、ぼくも買おうかな。」と、正吉くんは、あかずに、ちょうせんぶなのダンスをするのをながめていました。

「それよか君、あしたいっしょに魚つりにいこうね。」と、小田くんはいいました。

「ぼく待っているから、君、さそってくれたまえ。」

「ああ、お昼すぎになったら、じきにいくからね。」

二人は、こうおやくそくをして、正吉くんはやがてお家へかえっていきました。途中に大きなかしの木がありました。その下で、金魚売りのおじいさんが休んでいました。

「あのおじいさんではないかしら。」と、正吉くんは思いました。

ちかづいて、たずねました。

「おじいさん、ちょうせんぶなあるの?」

たばこを吸っていたおじいさんはにこにこしながら、

「ええ、ありますよ。」と、答えました。

「いくらですか?」

「三匹十銭におまけしておきますよ。」と、おじいさんはいいました。

それを聞くと、正吉くんは、お家へ走ってかえってきました。

「お母さん、ちょうせんぶなを買うのだからお金をちょうだい。」と、ねだりました。

「ちょうせんぶななんてあるのですかね。」と、お母さんはおっしゃいました。

「とてもおもしろいですよ。ちょうどあたりまえのふなみたいなかたちで、水の中を上へのぼったり、下へおりたりして、かわいらしいのだから。」といって、小田くんのところで見てきたちょうせんぶなの説明をいたしました。

そこへ、姉さんのとき子さんが出てきて、この話をききました。

「私も知っているわ。正ちゃんは、ちょうせんぶなを買ってきてどこへ入れるつもり?」と、とき子さんはききました。

「うちの水盤の中へ入れるよ。入れてもいいだろう?」と、正吉くんは姉さんの顔を見ました。

なぜなら、水盤は自分ひとりのものではなくて、きょうだいたちみんなのものであったからです。

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