夏の晩方あった話
本文約1,200字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
紙芝居屋のおじさんが、あめ屋に転身して現れる。正ちゃんや花子をはじめとする子供たちは、あめで象を作ってもらうが、出来栄えを巡って笑い転げる。子供たちから物語を語ってほしいと望まれたおじさんは、あめを配りながら巧みな話術で子供たちを魅了する。あめ細工よりも物語を愛する子供たちの優しさに触れたおじさんは、再び紙芝居を続けることを決意し、喜びを噛み締めながら家路につく。
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「おじさん、こんど、あめ屋さんになったの。」
正ちゃんは、顔なじみの紙芝居のおじさんが、きょうは、あめのはいった箱をかついできたので、目をまるくしました。
「ほんとうだわ、おじさん、あめ屋さんになったの。」と、花子さんもききました。
「ええ、あめ屋になりましたよ。」
「どうして?」
「紙芝居がたくさんになって、話では、はやりませんから、これからあめで、なんでも造りますから買ってくださいね。」と、おじさんは、いいました。
そこへ、英ちゃん、誠さん、年ちゃんたちが集まってきました。
「おじさん、さるでも、たぬきでも、なんでも造れて。」
英ちゃんは、不思議そうに、おじさんの顔を見ました。
「いつ、おじさんは、けいこをしたんだい。」と、誠さんが、ききました。
「おじさんは、もとから、このほうがお話よりもうまいんです。」と、おじさんが、笑いました。
正ちゃんは、お家へ駆け出してゆきました。年ちゃんも、つづいてゆきました。お母さんに、おあしをもらってくるためです。そのうち正ちゃんは、にこにこしながら、もどってきました。
「なにをこしらえてもらうかな。」と、正ちゃんが頭をかしげました。
「正ちゃん、うさぎがいいだろう。」と、誠さんがいいました。
「うきぎなんか、つまらない。それよりか、象がいいな。」
「ああ、象がいいわ。」と、花子さんが、いいました。
正ちゃんは、動物園で見た象のことを思い出して、それがいいと思ったから、
「おじさん、象をこしらえておくれよ。」と、おあしを渡しました。
「はい、はい、象をこしらえますかな。」と、いって、おじさんは、あめを管の先につけて、まるめたり、吹いたりして、やっと一ぴきの象ができ上がりました。
すると、これを見た、子供たちは、笑い出しました。
「おじさん、これが象なの?」
「象と見えませんか。」
「鼻が足みたいだ。」
「尾が、あんまり大きくて、みっともないよ。」
みんなは、げらげら笑い出しました。おじさんは、きまりが悪くなって、
「象は、下手ですから、なにか、ほかのものを造ってあげましょう。」といいました。けれど、子供たちは、もう、信じませんでした。