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TORENDIA

僕は兄さんだ

本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

絵本を読んでいた義ちゃんは、弟の繁さんが本を奪い泣き出したため、母親に連れられ外へ出る。道中、仲良く餌をつつく鶏を見て、母親から弟を叱らないよう諭される。電車を見に行った帰宅後、弟が自分のおもちゃや本に触れても怒らずに笑って見守る義ちゃんの姿を描く。幼い弟を持つ兄としての自覚を芽生えさせるまでの過程と、兄弟の交流を優しい眼差しで綴る物語である。

小川未明

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🎧 僕は兄さんだ / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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「お母さん、ここはどこ?」

お母さんは、弟の赤ちゃんに、お乳を飲ませて、新聞をごらんになっていましたが、義ちゃんが、そういったので、こちらをお向きになって、絵本をのぞきながら、

「さあ、どこでしょう。きれいな町ですね。義ちゃんも大きくなったら、こんなところへいってごらんなさい。」と、おっしゃいました。

「お母さん、この大きなお魚は、なんというの?」と、義ちゃんが、またききました。お母さんは、

「このお魚ですか。これは、たらといって、北の寒い海にすんでいるのですよ。」と、おっしゃいました。義ちゃんが、お父さんから買っていただいた、絵本をねっしんに見ていますと、もうお乳をたくさん飲んだ赤ちゃんは、こちらを見て、不思議そうな顔つきをして、きれいなご本を見ていましたが、かわいらしい手を出すと、ご本をしっかりとつかんでしまいました。

「お母さん、たいへん、僕の大事なご本を繁さんが、取ってしまった。」と、義ちゃんは、わめきました。

お母さんは、びっくりして、どうかして、小さな繁さんの手をご本から離させようとしましたが、なんといっても繁さんは、はなしませんでした。

「いい子だから、義ちゃん、すこしかしておいてくださいね。いまじきにはなすから。」と、お母さんは、おっしゃいました。

繁さんは、ご本をめずらしそうにながめていましたが、そのうちこれをお口に入れてなめようとしました。

「あ、お母さん、なめますよ。僕、もうきたなくしちゃったからいやだ。」といって、無理にそのご本をひったくりました。すると、今度、赤ちゃんは、大声を上げて泣き出してしまいました。お母さんは、お困りになりました。

「さあ、チンチンゴーゴーを見てきましょうね。」と、泣き叫ぶ、赤ちゃんを抱いて立ち上がられました。

「お母さん、どこへゆくの?」と、義ちゃんは、もはやご本どころではありません。それよりも、やはりお母さんといっしょに、電車を見にゆきたかったのです。

「繁さんが、きげんを悪くしたから、すこし外へつれていってくるのですよ。あなたは、お家に留守をして、ご本を見ていらっしゃい。」と、お母さんは、おっしゃいました。

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